基準値そのものに問題がある?
この値は、国際機関の国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告をもとに、原子力安全委員会が定めたもので、野菜類についての暫定基準値は、1キログラムあたり放射性ヨウ素2000ベクレルだとされている。
3月20日には、茨城県日立市で露地栽培されていたホウレンソウから1キロあたり5万4000ベクレルの放射性ヨウ素を検出。この値を大まかに換算すると、およそ1200マイクロシーベルトになる。健康に影響があるとされる目安の放射線量は年間100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)だ。単純化すると、この放射線量は、今回問題化しているホウレンソウ83キロ分。1年間に、この量を食べることは考えられず、実際のリスクはほんどないとの見方もできる。
この状況をめぐっては、3月22日午前の官房長官の会見では、
「暫定基準値自体、意味があるのかないのか分からない」
との疑問すら出ている。これに対して、枝野官房長官は
「調査を行わなければならないということについての基準値を設けたわけで、そうしたもの(基準値)を超えているので、それについて鋭意調査する。同時に、念のため、例えばホウレンソウなどについての出荷を規制するなどの万全の策をとっている」
「いくつか出てきている(基準値を超えている)ものについては、そうしたことで考えられている非常に保守的な数字」
と述べ、あくまでも健康上の問題はないことを繰り返した。ただ、これは基準値そのものに問題があるとも受け取れる発言だ。