急激な円高に、政府・日銀による円売り介入とわずか2日間のうちに乱高下したドル円相場。これを受けて外国為替証拠金取引、FXに投資していた個人投資家が悲鳴を上げている。
東京外国為替市場は2011年3月17日朝に一時1ドル76円25銭まで上昇し、1995年4月に付けた79円75銭の史上最高値を更新。その後も79円台で推移する円高水準だったが、18日朝に先進国7か国(G7)の財務相・中央銀行総裁の電話会議で協調介入が確認され、政府・日銀が円売り・ドル買い介入を進めると、1ドル80円台前半に回復。2日間で5円超もの値幅で動いた。
円急騰に拍車? 強制ロスカット
東北関東大震災で保険会社などが円資金を手元に置いておくため、ドルを売って円を買う動きが高まるとの思惑から、ドル円相場は急激な円高に見舞われた。
この相場の変動でFX業者は、多くの投資家の取引を「強制ロスカット」した。3月17日に起こったドル円相場の急騰について、外為どっとコム総研のシニア・ストラテジスト岡田剛志氏は「強制ロスカットによって円を買い戻す動きが強まったことがありました」と指摘。どうやら、強制ロスカットが急激な円高に拍車をかけてしまったところがあったようだ。
強制ロスカットは、投資家の証拠金が必要以上にマイナスにならないように、FX業者が文字どおり強制的に損切りするルールだ。損切りルールはFX業者によって異なる。通常は為替変動があっても、投資家は自分で決済しなければ、ずっと保持し続けることができるし、相場が下落しても決済しないでいれば損失は確定しない。その間の金利スワップも得られる。
ところが17日の円高では、多くの個人投資家にこのロスカットルールが適用された。つまり、レートの変動が大きく、損失を出したまま決済されて資産を減らされてしまったのだ。
その後、相場が買値まで戻ったとしても、決済してしまっていては取り戻す機会が失われてしまう。仮に、円安への動きを予測できだとしても、チャンスをみすみす逃してしまうことになる。