3連休の初日、通常であれば買い物客で混みあう繁華街だが、震災は人出にも影響しているだろうか。
東京・銀座を歩いてみると、表面上は普段の休日と変わらなかったものの、なぜか高級ブランド店が軒並み臨時休業していた。
百貨店の棚のブランド商品がカラッポ
JR有楽町駅から数寄屋橋交差点を抜け、銀座4丁目交差点へと向かう道は、連休初日となった2011年3月19日の昼過ぎ、まずまずのにぎわいをみせていた。春の日差しに恵まれて気温が上がったためか、若者から子ども連れの夫婦、外国人など様々な顔ぶれが見られる。
ただ、いつもと違う光景もあちこちで見られた。目立ったのは、東北関東大震災の被災地に向けた募金活動の姿だ。駅前や交差点で「募金をお願いします」という集団の声が聞こえてくる。
銀座の目抜き通りでは、多くの店舗で照明を落としていた。店内が暗いため、道路から奥まった場所にある飲食店は入り口にわざわざ「営業しています」と強調する張り紙を掲示しているところもあった。
その中で際立っていたのは、高級ブランドの専門店が続々と店を閉めていたことだ。コーチやエルメス、シャネル、ブルガリといった有名店が軒並み「震災の影響で臨時休業」との「お断り」を入り口に張り出している。休みだとは知らずに訪れた二人連れの若い女性は、トビラが閉まっているのを見て「えー、休みなの」と落胆した様子を見せた。
百貨店にあるブランドコーナーも同様だ。あるブランドは、棚から商品をすべて撤去したうえで「本日休業」となっていた。近くにいた店員に聞いてみると「連休中はどのお店でも営業していない、とうかがっています」と答えた。
高級ブランドすべてが営業していなかったわけではない。百貨店の紳士服売り場に入っている男性ブランドや、女性向けの高級靴ブランドは通常通り店を開けていた。
「お客様の安全を確保するため」
あるブランドの専門店では、店員が入り口のドアの前に立ち、訪れる客に対して営業している百貨店内の店舗に誘導していた。臨時休業の理由を聞くと、「節電の指示が政府から出ている」ことを挙げて、「お客様の安全を確保するため」だという。営業中の突然の「大規模停電」といった万一のケースを想定しての処置だったのか。
別のブランドでは、地震で物流システムに影響があり、客への十分なサービスが提供できない恐れがあるため休業を決めたそうだ。食料品や電気製品と同様、ブランド品にも配送のダメージが大きいということだろう。
一部のブランド店は、連休終了後の3月22日以降の営業についても「現時点では協議中」というところもあった。一方で銀座にある百貨店や大手衣料品店、貴金属店では終了時間を早めながらも、連休中は営業しているところも少なくない。どのような「基準」でこれらのブランド店が休業を決めたのか、いまひとつ謎だ。