大震災被害の試算「阪神」上回る 証券会社など12兆~20兆円程度を予測

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   東北関東大震災を受けて、市場関係者などの間では、日本経済への影響がどれくらいかなどの分析が始まった。日本経済は、政策効果の反動も薄れて外需をけん引役に2011年1~3月期から成長率を高めていき、4~6月期の実質国内総生産(GDP)は年率2%前後の成長を見込む向きが多かったが、マイナス成長か、せいぜいゼロ成長との見方が増えている。

   日本経済への影響として考えられるのは、道路、橋、港湾、家屋などインフラの破壊により直接の被害のほか、工場の操業停止など生産活動への影響、物流の停滞、企業・家計のマインドへの影響が考えられる。また、電力供給の停滞による経済活動への影響も大きいが、福島第一原発の事故の行方により、影響は電力供給にとどまらない可能性もある。

阪神大震災で9兆9000億円に達する

   直接被害では、1995年の阪神大震災で9兆9000億円に達した。兵庫県の県民総生産は19兆円、全国の4%で、今回被害の大きかった宮城、岩手、福島の3県の計20兆円は兵庫県1県にほぼ相当する。そこで、阪神の被害も参考に、いくつかの試算が出始めている。

   ゴールドマン・サックス証券は今回の被害が阪神の1.6倍に当たる16兆円に達する可能性があるとする。阪神の時の建築物、港湾、高速道路、ガス・電気の都市基盤などに対する被害総額を基にした。

   他の証券会社などの試算でも、野村アセットマネジメントが14兆~21兆円と見積もるなど、12兆~20兆円程度の被害との見方が多い。いずれも、今回の地震の被害は、阪神よりも被害地域が広範囲に及び、多方面に影響が及ぶ可能性が高いとの見立てだ。

計画停電の追い討ちで、被害額さらに増える

   こうした数字に、生産活動への影響、物流の停滞、企業・家計のマインドへの影響も加えると、マイナスは20兆~30兆円に達するとの見方もあるが、さらに追い討ちをかけそうなのが電力供給の不安だ。ゴールドマンは、東京電力の計画停電が当初見込み通り2011年4月末まで続いた場合、4~6月期の実質国内総生産(GDP)はマイナス成長に陥り、2011年通年では実質GDPは0.5%程度押し下げられると予測。UBS証券は4月末まで電力供給が25%減ると実質GDPを0.3%押し下げるとみている。

   特に生産現場からは、1日3時間程度の「細切れ停電」に悲鳴が上がる。「(輪番制では)いつ停電になるか見通しが立たない」(桜井正光・経済同友会代表幹事)ため、「半導体のように、業種によっては細切れ停電では生産できない」(米倉弘昌・経団連会長)というわけだ。このため、「丸1日休んで2~3日は操業できるような対応が必要」(米倉会長)と求めている。

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