東北関東大震災以降に、地震でもないのに揺れている感じがする、目まいがする、吐き気がするといった症状を訴える人が急増している。病気ではなく、地震が相次いでいるために「地震酔い」している可能性があるのだという。
気象庁の調べによると、2011年3月11日の大地震以降に、マグニチュード7以上の余震が3回、6以上は49回、5以上だと263回も日本で18日朝までに地震が発生している。
車酔いや船酔いと似た症状
「立っていても座っていてもなんとなく揺れてる気がする」「目眩がひどい。座っててもグラグラすることがある」「書き物をしてるとグエ~ッ。料理してるとグエ~ッ。キモチワルイ」。こんな内容がツイッター上で出ている。
テレビや新聞で見た衝撃的な光景のショックからなのではないか、と考えている人もいる。
しかし、この症状は、繰り返し地震を体感したことによる「地震酔い」の可能性が高いのだという。車酔いや船酔いなど乗り物酔いと同じようなもので、めまいや吐き気、手足が冷たくなったり、冷や汗なども出たりする。
めまいの専門家、聖マリアンナ医科大学病院耳鼻咽喉科の肥塚泉教授によれば、「地震酔い」は「後揺れ症候群」と呼ばれるもので、例えば、船に乗った後に陸に上がると自分の体が揺れているように感じるのに似ている。
人間の脳には「速度蓄積機構」というシステムがあり、自分が直前に体験した加速度や回転の情報を蓄えている。個人差はあるが、直前のそうした情報が残っているため起きる。
症状が出ても特に心配する必要は無い
地震は人体に与える刺激が強いため揺れている感覚が残りやすい。さらに、今回は地震が繰り返し起こっている。
「大震災のショックで、多くの人は揺れに対するストレスを溜めている。ストレスに対抗するためホルモンが分泌されるものの、このホルモンは耳に良い方向には働かない。こうしたことによって目まいなどの症状を訴える人が増えているのではないか」
と肥塚教授は説明する。
乗り物酔いは車から降りれば治ると同じように、「地震酔い」の症状が出ても特に心配する必要は無いという。今後も地震が続いたとしても、ほとんどの人は揺れに体が慣れてきて「地震酔い」しなくなってくる。苦しければ乗り物酔いの薬を飲むという方法もあるが、できるだけリラックスするようにし、運動したり、違った景色を見たりしてこれまでの感覚をリセットする。そういったことが効果的だと肥塚教授はアドバイスしている。