1995年とは「状況違う」との見方
1ドル76円と過去最高値を更新したドル円相場だが、これまでの最高値は阪神・淡路大震災が起こった1995年に記録している。
それもあって阪神・淡路大震災と比べられているが、「震災後の円高シナリオ」は繰り返されるのだろうか――。
前出の外為どっとコム総研の岡田氏は、「95年の円高要因は、震災というよりも政治的な側面があります」と、今回と状況が違うという。当時は日米構造協議の交渉中で、日本の自動車輸出がヤリ玉にあげられていた。その交渉の最中に「円が駆け引きの道具に使われたために起こった」と振り返る。
第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏も「過度な円高リスクは小さい」とみている。「いまは円が上昇しているというよりも、高金利通貨が売られている状況。相場の乱高下は、そういった需給の動きがハデに表れているため」と説明する。
とはいえ、「米国金利は3月17日時点で3.5%台から3.2%台に下落。そのために買っていたドルを手放す動きが加速しました。当面は73~75円が節目とみていますが、震災が世界経済にさらに悪影響を及ぼすことになれば、過去と比べようもない水準になる可能性もあります」と、岡田氏は話す。