未曾有の大震災で、自衛隊や電力会社から聞いたと不安を煽るチェーンメールなど出所不明の情報が次々に出回っている。どのようにして確かめたらいいのか。
ある動画配信サイトが2011年3月15日、フリーライターのAさんが被災地入りしている自衛官と携帯メールでやり取りした内容をAさんから聞いたとして記事にした。
グーグル「急上昇ワード」で1位に
それによると、自衛官は、福島第一原発で14日からすでにメルトダウンが始まり、もう「爆発を遅らせることしかできない」と言う。そのうえで、自衛官がこう警告していると伝えている。
「嫁さんだけでも西日本に避難させとけ」
「もう現場の一人は死んでるという噂」
ところが、この記事を引用した2ちゃんねるのスレッドが、Aさんの名前にある最後の漢字を、別の違う漢字に書き換えてしまった。スレを立てただれかがそうしたらしく、それがミスなのか故意なのかは不明だ。
記事は、強い関心を抱かせる内容だった。しかし、見慣れない名前だっただけに、一体このライターとはだれなのかと思う人が多かったらしい。グーグルサイトでは、この名前の検索が殺到し、「急上昇ワード」で2011年3月16日朝、名前の漢字が書き換えられた偽ライター名が最新検索の1位になった。
その偽ライター名で検索すると、2ちゃんのスレをコピペしたブログなどが出てくる。つまり、検索しても、このライターが結局だれだか分からないことになりかねなかったのだ。ブログにある元記事のリンクをたどることなどで、ようやく、ライター名が間違っていたことを知ることができる。
フリーライターと自衛官のやり取りを紹介した記事は、ウソとも真実とも断言しにくいものだが、出所は明確だった。しかし、ネット上で名前が書き換えられたために出所が分かりにくくなり、不安を増幅させる結果になった。