膨大な量の放射性物質が放出されるのか
国外のメディアを見ても、今後のリスクの評価は、様々だ。
ニューヨーク・タイムズ紙のウェブサイトでは、メルトダウンが起こる様子をイラスト入りで詳しく紹介。その中で、「最悪のケース」として、
「溶けた燃料が全ての骨組みを破壊し、膨大な量の放射性物質が放出される。だが、物理学者は、これが起こりうるかどうかについて疑問符を付けている」
としている。
また、英ファイナンシャル・タイムズ紙のブログによると、チェルノブイリ事故について欧州委員会に助言したこともある原子力物理学者のシャン・ナイアー氏は、同紙に対して
「チェルノブイリほど悪くはない」
と発言。だが、状況はきわめて深刻で、最悪の場合広範囲に放射能汚染が起こる可能性を警告した。さらに、
「未知の領域だ。今まで、この種のシナリオは、コンピューター上でシミューレションしたに過ぎない」
とも指摘している。
また、AFP通信によると、フランス核安全局(ASN)のラコスト局長は、2号機の爆発が確認される前の3月14日の時点で、福島原発の事故について
「(事故評価尺度で)レベル5を上回り、おそらくレベル6に当たる感覚」
と発言。チェルノブイリ事故は、最も重いレベル7(深刻な事故)。実際にメルトダウンにまで発展した1979年の米スリーマイル島原発事故は、レベル5(施設外へのリスクを伴う事故)だと分類されている。つまり、「スリーマイル以上、チェルノブイリ未満」という評価だ。
なお、1986年に起こったチェルノブイリ事故では、旧ソ連当局は原発の半径30キロ圏内の住民約12万人を強制避難させ、これまでの計約40万人が疎開したとされる。死者数は4000人にのぼると推計されている。