「過度な円高リスク小さい」
東北関東大震災が起こる前は、ようやく景気回復の兆しが見えてきたところだった。個人投資家などが積極的にリスクをとれるようになり、株式や投資信託、外貨預金などのリスク資産への投資が活発になっていて、低金利の円が売られやすい環境にあった。
一方で、もともと決算月である3月は国内企業が円の確保に動くので円高にふれやすい。こうしたバランスの中で震災が起こった。
第一生命経済研究所の嶌峰義清氏は現状を、「アジアなどを含めた株価の下落に加えて、原油価格も急落していることをみると、世界的にリスク資産から資金が逃げ出している。いまは円が上昇しているというよりも、高金利通貨が売られているとみてよい。乱高下しているのは、そういった需給の動きがハデに表れているため」と話す。
こうした相場の混乱は震災や原発問題が沈静化するまでは続きそうだが、このまま阪神・淡路大震災時のような円高シナリオになるかといえば、そうは言い切れないらしい。
島峰氏は「過度な円高リスクは小さい」とみている。
震災や原発問題が日本経済にさらに深刻な影響を及ぼすことになれば、海外投資家の円売りが進行するためだ。