「水もガスもトイレも使えない」 東京湾岸「液状化」の惨状

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   東北関東大震災では、東京のお膝元でも、かなり酷い地震被害が広がっている。東京湾岸の埋め立て地で、液状化現象による建物の傾斜や、断水、ガス供給停止などが深刻なのだ。

「自宅の北側が、液状化で20センチも沈んで、家が傾いたんですよ。庭からは、砂が地面からどっと吹き出してきて、本当に困ってます」

千葉県浦安市、全世帯の半分で断水

   湾岸地域の千葉市美浜区に住むある会社員男性は、取材にこう明かす。

   近くにあるプロ野球・ロッテの本拠地「QVCマリンフィールド」は、激しい揺れで下水道施設の破損などの被害が出た。そのため、地震翌日の2011年3月12日から18日までのオ―プン戦をすべて中止している。

   大震災では、巨大な津波や原発の爆発事故が大きくクローズアップされているが、被害はそれだけではないのだ。

   埋め立て地が全体の3分の2も占める千葉県浦安市では、全世帯の半分に当たる約3万7000戸で断水が続いている。地下の配水管が破裂するなどして、上下水道施設の半分に被害が出ているためだ。森田健作千葉県知事の要請で、災害史上初めて海上自衛隊が13日に給水専用艦を派遣した。その水を運ぶ県の給水車の前には、市民らの長い列ができている。市内のスーパーなどは、ペットボトルの水などを買い求める客が殺到し、品薄状態になっている。

   道路に至っては、埋め立て地の全地域に被害が及ぶ。液状化で、あちこちで路面の隆起や陥没が起こり、下水道のマンホールがところどころで路面から浮き上がっている。高さ1メートルに達するものもあるほどだ。

   地下からは砂や泥土が吹き出し、それが風で舞っている。マスクをしたり、ハンカチで口を押さえたりしないといけないほどの砂ぼこりだ。

   浦安鉄鋼団地内の企業で働く市内在住の女性(61)は、液状化で日に日に被害が酷くなっているとため息をつく。

「ガスも止まってしまった」

「水が出ないので、トイレも使えないんですよ。今日やっと簡易トイレが配られましたが、ガスも止まってしまったんです。88歳の母と2人で暮らしており、道もどんどん歪んで、通るのも難儀しています。25年間も浦安に住んでいますが、こんなにつらい体験は初めてですよ」

   浦安市の災害対策本部によると、小学校やマンションなどに市などが仮設トイレを次々に設置している。しかし、その数は、断水世帯の1%にも満たない320個ほどだ。ガスが止まっている地域もあり、5000戸近くが供給停止になっている。

   観光関係への打撃も深刻だ。浦安市にある東京ディズニーランドでは、地震翌日の2011年3月12日から、休園を続けている。特に、沿岸に近いディズニーシーでは、泥土が地下から路面に噴出し、バス停の支柱が倒れたり、街灯が傾いたりするなどの被害が出ている。上下水道が止まっているため、近くのホテルなども営業停止を余儀なくされている。

   こうした甚大な被害から、同市の松崎秀樹市長は14日、「激甚災害」の指定を政府に申請する検討を始めたことを会見で明らかにした。震災では、計画停電の対象地域になっていたが、東京電力に被災地であることを訴えた結果、15日になって当分は除外されることになったという。

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