復調Jリート、狙うはオフィス系? 日銀の買い取り効果に期待

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   不動産投資信託(J‐REIT)が復調気配にある。東京証券取引所に上場する35銘柄のJリートの時価総額を指数化した「東証REIT指数」(2008年3月31日=1000ポイント)は、リーマン・ショック後に基準値を割り込んでいたが、2010年10月以降は、日本銀行が追加的な金融緩和策の一環として打ち出した「Jリートの買い取り」効果もあって、11~12月の2か月間で20%を超える上昇率を示した。

   20%超もの伸びは、過去最高の上昇率(04年)に匹敵する水準。Jリートに、ようやく明るい兆しが見えてきた。

原油高、円高も好材料

日銀の「買い取り効果」でJリートが復調気配(写真は、東京・新宿界隈)
日銀の「買い取り効果」でJリートが復調気配(写真は、東京・新宿界隈)

   Jリート復調のきっかけとなった日銀によるJリートの買い取り策は、金額で約500億円、ダブルA格付け以上という銘柄が買い取りの対象だ。当初はその効果も限定的とみられていたが、アナウンス効果としては十分。2010年12月に買い取りが始まるとジワジワと上昇し、年明けの1月4日には1156.46ポイントを付けた。

   Jリートに詳しいアイビー総研の関大介氏は、こう説明する。

「500億円はすべてリートの買い取りに使われるわけですから、月にならせば42億円まで買えます。ところが実際に買い取った金額は12月が24億円、1月は22億円と少なく、買い取り余力はまだ十分にあります。投資家にしてみれば、株価などの多少の変動があっても日銀が買い支えてくれるので、リートの株価の値上がりもなお期待できると踏んでいるわけです」

   それだけではない。原油価格の高騰などで投資マネーが商品先物に動くなか、株式相場は原油高や円高の影響で軟調だし、10年国債も利回りが上昇したといっても年1.2~1.3%程度と魅力は薄く、投資しづらい。その点、Jリートの配当金利回りは平均4~5%は見込める。

   関氏は、「Jリートが円高(為替変動)の影響を受けにくく、投資しやすいこともあると思います」と分析。潜在的に、Jリートに投資しやすい環境が整っているようだ。

オフィス系は時価総額が大きい

   Jリートは、投資物件からの利益を配当金に充てる仕組みなので、新規物件を取得するには増資や銀行借り入れなど、外部から調達する必要がある。

   リーマン・ショック後は株価が低迷したため、増資も銀行借り入れもできずに苦労したが、それができるようになったことも、「Jリート復調」の要因だ。

   日本ビルファンドやジャパンエクセレント、福岡リートなどの投資法人が相次いで増資を実施。銀行も手のひらを返したように、「資金を借りないか」とやってくるという。

   Jリートの中でも、マンション販売が好調な「住宅系」銘柄に比べて、最近はこれまで動きが鈍かった「オフィス系」銘柄への期待が膨らんでいる。

   リーマン・ショックの影響を強く受けたオフィス系は、投資物件あたりの利益の目減りが大きい銘柄が少なくない。オフィス賃料の低迷はいまが踏ん張りどころでもあり、それゆえ株価が上昇する余地が大きく、期待もまた大きいというわけだ。

   オフィス系は総じて時価総額が大きく、関氏は「日銀が買い取り銘柄について、時価総額が大きい銘柄を中心に買いたいとしていることも、オフィス系に目が向けられている要因」とみている。

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