島に到着早々マスクを外す
「避粉地」はほかにもある。長崎県平戸市の離島、的山大島(あづちおおしま)だ。長崎県のスギ・ヒノキの面積割合は42%に上るが、この島に限れば1~3%程度にとどまる。平戸観光協会に取材したところ、風が強い的山大島では、防風林としてマツが植えられた一方でスギは使われなかったようだ。風向きも影響していると見られ、九州本土から花粉が風に乗って飛散してくることもないと話す。的山大島と比べて、同協会が事務所を構える平戸島では「少し高台に行くと花粉が舞っているのを感じる」という。
「避粉地体験ツアー」も開催された。平戸商工会などが主催し、2011年2月18日~20日の日程で的山大島に滞在する旅行者を募集したところ、主に60代以上の夫婦で、福岡を中心に15人が参加したという。平戸商工会に聞くと、平戸島からフェリーに乗って45分ほどで島に到着した参加者は、開口一番「(空気が)全然違う」と、花粉対策用のマスクを外していたそうだ。ツアーには長崎大学病院の耳鼻咽喉科の医師が付き添って参加者の診断や講演を実施、また食事にはアレルギーに配慮した材料が使われるなど、工夫を凝らしたと話す。都会の「花粉地獄」から逃れて、澄んだ空気を吸いながらのんびり過ごす「スローライフ」を楽しむには、格好の場所かもしれない。