マグニチュード8.8という未曾有の大災害となった東日本巨大地震の影響で、福島第1、第2原子力発電所が被害を受け、政府は「緊急事態」を宣言した。
第1原発では、原子炉を冷やす水が蒸発して水位が下がり、燃料棒の一部が溶けて放射性物質が一部外部に漏れ出す事態となった。「微量」との発表だが、予断を許さない状況が続いている。
半径10キロの住民に避難指示
2011年3月11日に起きた大地震で、福島県にある東京電力の福島第1、第2原発は緊急停止したものの、緊急炉心冷却システムが動かなくなった。炉心を冷やす水が供給されず、炉心の水位が下がって燃料棒が最大1メートル70センチほどむき出しの状態となってしまったという。
原発の運転が止まっていても、核燃料が熱を持っているため冷却できないと原子炉内は高温のままとなる。この状態が続けば、燃料棒が壊れて放射性物質が外に漏れ出す。菅直人首相は、第1原発から半径10キロ以内の住民に避難指示を出した。
東電では、原子炉内の燃料棒を冷やすため2万1000トンの水を注入して対処に当たってきたが、経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後2時過ぎ、核分裂によって発生する「セシウム」「ヨウ素」という放射性物質が第1原発の敷地内で検出されたことを明らかにした。燃料が溶け出すのを止められなかったと見られる。
保安院は、万一放射線物質が外に放出されたとしても、半径10キロ以遠であれば安全性は保たれるとしている。また漏れた量や気象状況から見て、現時点で10キロの範囲を広げる必要はないと発表した。第1原発のある福島県大熊町では、12日午後2時半過ぎの時点で、住民3000人が隣の田村市に避難を完了、また1500~2000人の避難要請を受けているとNHKは伝えた。
第2原発でも今後、同様の懸念がある。ここでは半径3キロ圏内の住民への避難指示が出され、隣接する自治体への移動が進んでいる模様だ。