歌うバーチャルアイドル「初音ミク」のコンサートが2011年3月9日に開催されたが、その内容があまりにも酷かったとして、ネット上で「金を返せ!」「ファンやミクをバカにしている」などと主催会社に対する不満が爆発している。あまりにもバッシングが激しいため、一部の「ミク」ファンが、「言われているほど酷くない」などと反撃している。
「初音ミク」は自作の曲を自由に歌わせることができるパソコン用ソフトだが、そのパッケージに描かれた愛らしい少女のイラストが大人気になり、自作の曲にその少女「初音ミク」の動画を制作して「ニコニコ動画」などにアップする人が増え、楽曲作りだけでなくキャラクターも大ブームになった。
藤田咲さんとの中継も回線トラブルで放送できず
問題のコンサートは3月9日の「ミクの日」に開催された「初音ミク ライブパーティー2011 39's LIVE IN TOKYO」(通称:ミクパ)。昨年の同じ日に開催されたコンサートでは、特殊なフイルムに動画を映す技術によって「ミクの3次元化」を実現。舞台に立ち歌って踊る様を見たファンから「まるで本物のミクがいるようだ」と評判になった。また、コンサートの完成度も高かったとファンは大満足していた。そのため、今年の「ミクの日」のコンサートはさらに内容が進化しているはずだと期待も高まっていた。
今回のコンサートは東京お台場の「ZeppTokyo」で開催されたほか、全国十数カ所の映画館で中継。また、「ニコニコ動画」では16万人以上のファンが有料で生放送を視聴した。スタートは9日の午後7時からだったが、始まって間もなくから不満の声がネット上に出始め、終了後にはコンサート主催者に対する激しいバッシングに発展した。
何が不満だったのかネットの声を集めてみると、最大の理由は「ミク」にリアル感がなかったこと。昨年のコンサートでは3次元の「ミク」が見られたのだが、今回は四角いモニターに「ミク」を映したため、「テレビやパソコン画面で見ているようだ」というもので、コンサートの臨場感が薄まったというもの。また、「ミク」が登場するまでの前座のパフォーマンスが長すぎた、というものや、音質が良くなかったというものもある。
さらに、コンサートが始まって1時間に満たないのに、意味不明の30分の休憩があった。なぜ休憩が必要なのかの説明がなく、様々な憶測が出たが、実は、この時間は「ミク」の声を担当している藤田咲さんがいる会場と中継を繋ぎ、「ミク」を使ったテーマソングコンテストの発表をする予定だった。しかし、回線トラブルが起こったため放送できない事態になってしまった。
「評価や、その責任は全て受け止める」と主催社社長
ネットでは「ニコニコ動画」で中継を見たという人までが「金返せ!」などと主催者に対しバッシングに参加している。ただし、今回のコンサートは「非常に楽しかった」という人がいるのも事実で、あまりに大きくなったバッシングに対し、「2chまとめサイトが煽っている3月9日開催のミクパがそこまで酷くない件。」などというスレッドを立てて、バッシングに対抗する動きも出ている。
今回のコンサートを主催した5pbの志倉千代丸社長は9日、「期待していたものと違う」という意見が来ていると「ツイッター」で今回の騒動に触れ、
「主催企業の代表として責任ある立場であるという認識は揺るぎ無く、よって投げかけられた非難や誤解を解消しようという気も全く無く、最終的な皆さんの評価や、その責任は全て受け止める積もりでいます」
などとつぶやいている。