結局、石原慎太郎都知事は立候補するのかしないのか。告示が迫る東京都知事選に関して、石原知事の進退予測がまだ揺れている。「不出馬」情報が多く流れる中、ここに来て「不出馬意向を再検討し、立候補の可能性が出てきた」との報道が現れた。石原氏が「揺れている」のか、単に報道が揺れているだけなのか。
「石原知事、進退再検討 自民の説得受け」。朝日新聞は2011年3月10日付朝刊の社会面でこう伝えた。「(石原知事が)これまでの不出馬の意向を再検討し立候補の可能性が出てきたことがわかった」という。10日正午前のTBSニュースも同趣旨の情報を流した。
産経、読売「不出馬意向」、毎日「出馬の方向」
朝日新聞は2月22日、夕刊で「石原都知事 不出馬の意向」「関係者に伝達」と1面(東京最終版、以下同)で報じた。東京新聞と同時の「特ダネ」の形で、以降、「石原都知事は不出馬」との見方が広がる流れをつくった形だ。
産経新聞は2月23日付朝刊で「石原氏、4選不出馬」との見出しで、神奈川県の松沢成文知事に「(石原知事周辺が)後継候補として出馬を打診」とも伝えた。松沢氏は3月1日に都知事選への立候補を表明し、会見の場で「信念として(石原氏の)4選はないと感じている」と話したこともあり、「松沢氏が石原氏の後継含み」との見立ても広がった。産経新聞は3月10日付朝刊でも、「石原慎太郎都知事は不出馬の意向で正式な表明は11日」と書いている。
読売新聞が夕刊1面で「石原氏4選不出馬 自民に意向伝達」と報じたのは3月3日だ。9日付朝刊の都知事選まとめ記事でも「石原慎太郎知事が11日に不出馬を表明するが、政党の対応が定まっていない」と「不出馬」路線で話を進めている。
ほかにも例えば、「石原慎太郎氏が11日に4選不出馬を表明する見通し」(共同通信、3月7日)、「石原氏は不出馬の意向を固めている」(時事通信、3月9日)といった表現が都知事選関係記事の中で使われている。