朝鮮高校への無償化するのかしないのか 年度末になっても決められない菅政権

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   年度末まであと3週間と少し。なのに、菅政権はまだ朝鮮高級学校(朝鮮学校の高校)への高校無償化適用凍結を解除するのかどうかフラフラしている。一方、大阪府の橋下徹知事は、朝鮮高級学校への府独自の補助金を支出しないと表明した。

   高木義明・文部科学相は2011年3月9日、「凍結」中の朝鮮高級学校への高校無償化適用について、「首相とよく相談して、私が判断していきたい」と衆院の委員会での質問に答えた。

橋下府知事は「約1億円支給せず」決める

菅首相はどう決断するのか。
菅首相はどう決断するのか。

   この「凍結」問題は、10年11月にあった北朝鮮による韓国の島への砲撃事件を受けた措置だ。10年度の適用は見送るのか、残り少ない10年度中に凍結を解除するのか。高木文科相の答弁は、10年度も終わりが目前に迫っているのに、まだ政府の方針が決まっていないことを示している。ある文科省関係者によると、解除問題について「詰めの会議」の予定は入っていないという。

   一方、府内の朝鮮高級学校と同校の生徒・保護者への2種類の補助金計約1億円(10年度分)を支給しない、と態度を明確にしたのは橋下府知事だ。3月8日、ぶら下がり取材で記者に答えた。

   高校無償化事業は全額国費負担で地方負担分はないため、府の補助金の話とは直接的には関係ない。府は、従来から朝鮮初中級学校を含めた朝鮮学校へ補助金を出してきたが、10年度は朝鮮学校への補助見直しを求める声を受けてその是非を検討していた。

   そして府は今回、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記らの肖像画を教室からはずす、などと提示した要件に照らして判断し、朝鮮高級学校とその生徒らへの補助金は見送ることを決め、初中級学校へは支給する方向で調整することにした。

神奈川と千葉は支払い、東京都「保留中」

   都道府県による朝鮮学校への補助金については、産経新聞の調査などによると、09年度は27都道府県で、市町村レベルを含め「計7億6666万円」支出していた。

   10年11月の北朝鮮砲撃事件を受け12月ごろには、神奈川県や千葉県などの10年度補助金の支払い「留保」の動きが報じられた。

   神奈川県に確認してみると、検討した結果、結局補助金を支払ったという。「日本や国際社会における一般的認識に沿った教育が実施されることが確認された」として、年に3回支給する補助金のうち、6月、12月分はすでに支給し、3月分も予定通り支給する手はずだという。

   また、千葉県でも同様の判断から12月中に一括して予定分を支給したという。

   一方、東京都はまだ支給を「保留中」だ。12月中に支払う予定だったが、宙に浮いた状態が続いている。都議会で議論が集約されるのを待っている形だが、ある関係者は「朝鮮学校の高校無償化について国の方針が定まらないことも間接的に影響している」と話した。

   橋下府知事による補助金見送りの決定について、大阪朝鮮高級学校のある男性関係者は「(府からの問い合わせに対して)真摯に検討して回答書を出したので、(知事の決定は)大変残念です」と話した。

姉妹サイト