菅首相は続投させる方針
細川厚労相は、「厚生労働の行政全般の責任は私が有している」と話し、10年12月の課長通達の責任について認めている。しかし、「外形的責任」はあるが、実質的な責任は引き継をしなかった前任大臣や官僚にある、と言外に言いたげではある。
毎日新聞(3月8日付朝刊)によると、細川厚労相が年金救済策について知ったのは、1月下旬、総務省の内山晃政務官が「このままでは大変な問題になる」と細川厚労相に見直しを迫ったときだったという。
ちなみに、年金救済策については、10年12月31日付朝刊で朝日新聞が報じ、1月18日付夕刊で読売新聞が図付きで救済策の仕組みを説明するなどしていた。
また、厚労省のサイトには10年3月29日にあった「年金記録回復委員会」の議事要旨や資料「記録問題への対応策(未定稿)」が公開され、誰でも読むことができる。主婦年金救済策に該当する箇所をみてみると、「対応策」では、「過去の期間については、保険料の時効が到来していない過去2年間を除き、現状のままとする」と、すでに救済の概要が示されている。議事要旨にも委員からの発言として「不公平感がある」などの批判も載っている。
細川厚労相は、仮に引き継ぎ時に長妻氏から説明を受けていたら、どう対処していたのだろうか。
菅直人首相は3月7日、救済策見直しについて「厚労相を中心に(課長通達ではなく)法改正によって方向性を出そうと進めている」と話し、細川厚労相を続投させる考えを示した。細川厚労相の進退問題よりも新たな年金救済策を策定することの方が重要だ、という指摘がある一方、予算関連法案の可決にめどがたたない菅直人首相の「進退問題」の解決の方が先だという声もある。