政投銀もイオンを「援軍」と見る?
そこへ降ってわいたイオンの登場で、パルコ株を巡る対立の構図は変化しそうだ。もともと、パルコ経営陣も、独立心が強いと言いながらも「単独での生き残りは難しい」と漏らすこともあった。実際、客観的情勢として、パルコ単独でこの先やっていけるかとなると疑問符は付く。
とはいえ、小売り業のノウハウを知悉していない森トラストの傘下に入るのが得策かどうかは分からない。豊富な資金力と商品調達力があるイオンならどうか。仮にイオングループ内に入ったとしても、主力のジャスコ等とは違う、都市型店舗としてむしろ存在感を高められる可能性がある、と判断しても不思議ではない。
森トラストも「イオンの提案内容を見てみたい」と前向きに受け止めている。政投銀も、「経営再建」という"後ろ向き"ではない投資案件の第1号を傷付けないよう、イオンを援軍と見ているフシがある。となればイオンが今後、パルコへの出資比率を高め、政投銀の投資の「出口」を引き受けることも現実味を帯びてくる。この絶妙なシナリオを誰が描いたのか現時点では不明だが、いずれ明らかになると思われる。