2010年度の個人向け国債の発行額は1兆277億円となり、発行をはじめた03年度以降の最低を記録した。景気の先行きが不透明なことから表面金利が市場金利に連動して低下したことで、個人の投資先としての魅力が薄れた。10年物の初回利率は06年7月には年1.01%を付けたが、11年1月の初回利率は0.39%に低下していた。
個人向け国債は、変動金利型の10年物と固定金利型5年物、10年7月からは固定金利型3年物の3種類を発行している。10年物の発行額は1438億円、5年物は4221億円で、いずれも最低を更新した。3年物は4618億円だった。
個人向け国債の国債全体の発行額に占める割合は1%程度にすぎない。2011年1月からは、5年物が満期を初めて迎え、約1兆円が償還されたが、償還資金を国債に再投資する動きは限定的なようだ。
個人向け国債は11年7月発行分から、10年物の金利設定方式を変更して利率を上げる。