1日10本以下の人の割合が大幅に増える
厚生労働省研究班の調査(2月8日発表、10年11~12月に面接)では、喫煙者率は男37.1%(前年は36.1%)、女8.9%(同8.3%)で、値上げ前後でほとんど変化がなかった。ただし、喫煙者のうち喫煙本数が1日10本以下の人の割合は、男32.3%、女55.2%と、値上げ前のそれぞれ18.2%と36.8%から大幅に増えた。値上げの効果は「節煙」にとどまり、「禁煙」にまでは至っていないということだ。
では、どこまで値上げすれば禁煙に大きな効果があるのか。東京大学の五十嵐中・特任助教(医薬政策学)が試算したところ、1箱700円で、男性喫煙率(09年で38.2%)は25%まで下がるという(日経新聞2月23日付夕刊)。
また、大阪大の松浦成昭教授の研究チームの試算(2008年)では、1箱500円まで上げると、男性の喫煙率は10%台半ばまで低下し、それにより年間約6600億円の医療費削減効果が期待できるとともに、たばこ税収面でも年1580億円の増収となるという。
ただ、フランスでは2003、04年の増税で価格が約40%値上がりし、消費量は23%減ったものの、喫煙率は2%しか下がらなかったとの報告もある。
こうした状況について世界保健機関(WHO)などの専門家は「価格引き上げとともに、公共施設での禁煙の徹底や、たばこの広告の全面規制などが必要だ」と述べ、さまざまな対策を組み合わせる必要を訴えており、日本では今後も、一段の増税とともに、さまざまな規制強化がさけられそうもない。