コンパ開催届け佐賀大が義務化 飲酒強要、一気飲みに停学や退学も

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   飲酒に慣れていない大学生がコンパなどで大量に酒を飲み死亡したり、トラブルに巻き込まれたりする例が後を絶たない。そうした中で、佐賀大学は、部やサークルがコンパを開く場合、大学への届けを義務付けたほか、飲酒の強要や一気飲みをさせた学生には場合によっては停学や退学の重い処分を科すことにした。

   同大では2010年3月、男子一年生(当時19)が急性アルコール中毒で死亡した。ラグビー部に所属していて卒業生の送別会に参加した後のことだった。

一気や酔い潰しをしないという誓約書を提出

   佐賀大学によれば、コンパの届け出を義務付けたのは101の部とサークル。届出書にはコンパに出席する参加人数と氏名、場所と日時、終了予定時間を記入する。代表者には未成年者の飲酒や、一気飲みの強要、酔い潰しをしないという誓約書も書かせる。提出時には教員や事務職員から改めて注意を求める指導が行われる。

   罰則も厳しく、一気飲みなど強要された学生が重大な事態に至った場合は、退学か停学。未成年の学生が飲酒した場合は停学か訓告。未成年と知りながらすすめた場合は停学か訓告となる。

   実施は11年1月11日から。職員にはここまで厳しくなくてもいいという反対意見もあったが、飲酒事故を防ぐことが第一で、少しでも抑止力が発揮できればということで決まった。これまで届け出は28回あり、

「特に学生達から不満の声のようなものは出ていない」

と大学では話している。ただし、提出義務は101の部やサークルが対象で、クラス単位のコンパは必要ない。また、サークルのメンバーが「個人的」に行う数人規模の飲み会についても提出の義務はないという。

   学生が酒で死亡する事故は度々起きていて、大学は防止対策に追われている。2008年4月、学生寮の飲み会で1年男子(当時18歳)が急性アルコール中毒で死亡した一橋大は09年1月に「飲酒に関する基本原則」を制定。未成年学生の飲酒に関わった学生を停学や奨学金停止などにする罰則を盛り込み、「成人に対しても飲酒を強要してはならない」とし、キャンパス内では原則飲酒禁止とした。

   京都精華大では10年11月に1年の女子大生(当時18)が学内で行われた飲み会で急性アルコール中毒によって死亡した。すぐに学内での飲酒禁止を学生に伝え、11年度前期から、飲酒に関する教育プログラムを開設し、全学部1年生の必修科目とすると11年2月16日に発表した。

10年間に大学生16名が過度の飲酒で死亡

   死亡事故には至らなかったが、京都教育大学では09年2月、卒業生の「追い出しコンパ」が開かれた際に、酒に酔った女子学生を集団準強姦したとして男子学生6人が逮捕された。京都教育大はこの事件以降、「未成年の飲酒や飲酒の強要の禁止が守られていなかった」とし、違反した学生は退学や停学の措置を取ると明示。また、「新入生歓迎コンパ」では、成人が含まれていたとしても、酒の持ち込みと飲酒を禁止した。

   一気飲み防止などに取り組むNPO「アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)」代表の今成知美さんによれば、同協会が把握しているだけでも06年から10年の間に大学生16名が過度の飲酒で死亡し、うち10名は未成年者だった。

   今成さんは今回の佐賀大学の防止策について、学生の自治の分野にまで大学が踏み込み、厳しい措置を取る姿勢は評価するが、一般社会でもよくあるように、管理システムを作っただけでは、何のためにかが忘れられ、形骸化してしまう可能性があると警鐘を鳴らす。

「大学はアルコールが人体にあたえる危険性や、アルコールハラスメントなどの人権や心理的な問題を徹底して学生に教えるべきで、管理やシステム作りはそのうえでの話。管理だけでは根本解決にならないのではないか」
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