中国・北京でのデモ取材をめぐり、記者会見での中国外務省とのやり取りが過熱している。外国記者は、取材現場で警察に妨害されたことを激しく抗議する一方、外務省は「何でも自由に取材できる訳ではない。法律を学ぶべき」などと応戦。2008年の北京五輪以降は比較的自由に取材が出来ていただけに、急な運用の変更に、報道陣は不満をつのらせている。
一連の問題の発端は、2月27日に、中国・北京の繁華街「王府井」で予定されていたデモの取材だ。ネット上で、毎週日曜日にデモを呼びかける書き込みが拡散していたことから、外国メディアも北京や上海の繁華街で取材をしようとした。
中国外務省の定例会見で1時間半も応酬
だが、王府井で実際にデモを行う人はほとんど現れず、記者の目の前に現れたのは警官ばかり。デモは実際には行われなかったにもかかわらず、私服警官や制服を着た警官が16人以上の記者に対して、機材を没収したりデータを消去させるなどして取材を妨害。なかには殴打される記者もいた。
このため、3月1日の外務省の定例会見は、なかば「糾弾集会」と化した。やり取りはおよそ1時間半に及んだが、姜瑜・副報道局長は、
「海外の記者が、大規模・長時間にわたって何も起こっていない繁華街に集まって通行を邪魔することは許されない」
「世界のどこでも、自由に取材できるというのか」
と、譲らず、取材妨害について謝罪することはなかった。
さらに、「取材のルールは従来から変わっていない」とする一方、妨害を受けた記者は「国務院537号令」に違反したと主張。この条項では、(1)インタビューを受ける人の承諾があった際にインタビューができる(2)チベットなどの制限区域以外であれば、許可がなくても旅行ができる、という点が骨子だ。