菅直人首相の連日の高級飲食店通いが注目を集めている。伸子夫人の同席も少なくない。かつて自民党の麻生太郎氏が首相だったころ「ホテルのバー通い」を批判した「庶民派」菅氏。またまた「批判ブーメラン」現象で自身の首を絞めている形だ。
「(2011年)2月17日、(東京・紀尾井町の)ホテルニューオータニの日本料理店『千羽鶴』、伸子夫人らと食事」、「2月18日、ニューオータニの日本料理店『紀尾井町 藍泉』、輿石東・民主党参院議員会長と」……新聞の首相動静欄にはこんな感じで菅首相の高級店通いが並んでいる。
「一流ホテルのバーが『安い』という感覚そのものが問われている」
ちなみに、同ホテルサイトを見てみると、千羽鶴は「ディナー」が2万5000円から、藍泉は1万8000円からとなっている。相当いいお値段だ。ほかにも高級焼肉店や赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京のバー「ダビンチ」などの名前が出てくる。
2月以降、こうした夜の外食は10回を超えており、3月4日付の産経新聞朝刊は「会談相手の分も支払ったと仮定」し、平均客単価で概算すると2月以降の1か月強だけで「首相は50万円以上ポケットマネーから支出した計算になる」と指摘している。
「一流ホテルのバーが『安い』という感覚そのものが問われている」「安いところで酒を飲むというと、われわれの感覚では焼鳥屋だ」
これは菅首相が、民主党代表代行だった08年10月23日、山口市内で記者らを前に、当時ホテルのバー通いを批判されていた麻生首相に向けて放った言葉だ。
「麻生首相、今夜はどこへ? 連日、高級飲食店・バー 気分転換?気もむ党内」(朝日新聞、08年10月22日)、「麻生首相、バー通い『やめない』『安いし、安全』」(読売新聞、同23日)――当時、麻生氏はマスコミから連日のように高級店通いを取り上げられていた。
「その言葉をそっくり(菅氏に)返上したい」。麻生氏は11年3月3日、派閥総会でこう語った。もっとも、「その言葉」とは、菅氏が08年10月、国会で麻生首相(当時)に対し「居座りをするのではなく、きちんと解散・総選挙を」と迫った言葉に対してだ。しかし、高級店通い問題についても同じセリフを菅氏に言いたいのではないだろうか。
菅首相の高級店通いについて、「官邸スタッフは『警備上の理由』をあげる」(朝日新聞、11年3月4日付朝刊)。どこかで聞いたセリフだ。以前の麻生氏側も同趣旨の「反論」は行っていた。それでも菅氏ら民主党関係者は聞く耳を持たず、麻生氏批判を繰り返していた。