大学入試問題を「ヤフー知恵袋」に投稿し、カンニングしようとしていたと見られる人物を巡ってネットが盛り上がっている。投稿者のヤフーID「aicezuki」からメッセージを読み解こうとしたり、文字を並び替えて意味を探ろうとしたりするなど皆躍起になっている。果たして何者なのか。
この人物は「aicezuki」というIDを使って、2011年2月26日に行われた京都大学入学試験の問題を試験中にヤフー知恵袋に投稿。質問履歴から同志社大学や早稲田大学でも同様の投稿をしていたと見られている。
「鈴木愛」から「名字は井村」説まで
2ちゃんねるでは、発覚当日の26日から議論沸騰。27日までには、Mixiで「aicezuki」の名前を使ったアカウントが発見された。都内の有名国立大付属高校に通う18歳の男子高校生で、当初はこの男子高校生が「aicezuki」という説で盛り上がったが、高校側は否定した。
現在行われているのが「aicezuki」の解読だ。ローマ字で無理矢理読もうとすると「あいすずき」と読めなくもないことから、「アイス好き」「鈴木愛」といった意味だとするものや、逆から読んで「行くぜCIA」。ほかに「aicezuki」を並び替えて「azukiice(小豆アイス)」とし、「あずきバーだから井村屋。名字が井村ってことじゃないか」といった説まで出ていた。
さらに、「aicezuki」と同一人物とみられる可能性のある別IDも発見された。「a0tja0jt」というIDで、「ヤフー知恵袋」に投稿。質問の文章がよく似ているほか受験問題に関する質問を多数しており、中には京都大学の問題だとするものもある。また、恋愛に関する質問にばかり多く回答していることから、2ちゃんねるでは「彼女持ちのリア充」だと見られている。
ITジャーナリスト「30代受験産業関係者の可能性」
ITジャーナリストの井上トシユキさんは,ネットでの盛り上がり状況について「『行くぜCIA』にしても、どれもメッセージ性があるように見える。また、投稿の方法や意図も色々な考え方ができるので、探偵気分を味わえる非常に間口の広い事件」と語る。
その上で、「aicezuki」はカンニングしようとした受験生ではないと推測する。
「受験問題の得意な協力者を見つけて直接やりとりすればいいのに、なぜ人目のつくヤフー知恵袋を介しているのか。考えれば考えるほど不自然な点が目立ちます。これはむしろ、大学入試で不正が行われていることを注目させ、裏口入学や問題漏洩など、実際に不正を行っている当事者に警告するのが目的なのでは」
こうしたことから、大学受験の不正への義憤に駆られた受験産業関係者か大学関係者で、ITに強い30代の可能性があるとする。
警察は京都大学や早稲田大学など4つの大学の被害届を受け、ヤフーに投稿者のIPアドレスの提出を要請、本格的に調査に乗り出した。井上さんは「『aicezuki』はすぐ特定できると思いますが、パスワードが盗まれたり、同じIDを複数で共有していたりすると捜査が長期化するかも知れません」と話している。