会社更生手続き中の日本航空(JAL)は2011年2月28日、11年度から順次導入される「鶴丸塗装機」の1号機を報道陣に公開した。鶴丸デザインが同社機に復活するのは08年5月以来、約3年ぶり。「新しいJALを創っていく気持ちで制定した」(大西賢社長)と、新デザインで再建をアピールしたい考えだ。
鶴丸は1959年に登場、旧日本エアシステム(JAS)と統合するまでの02年まで採用されていた。その後は現行のデザインにじょじょに切り替わり、08年6月には完全に姿を消していた。
「新生鶴丸」は字体も変更してスピード感出す
かつての鶴丸マークと比べて、「新生鶴丸」は、翼の部分の切れ込みが深く太くなり、「JAL」の字体もゴシック体に変更してスピード感を出した。鶴丸デザインが正式に採用されるのは11年4月からで、機体の塗り替え時期に合わせて、じょじょに更新する。
大西賢社長は、
「ジャパンブランドを掲げる企業として生きて行きたい。そういう意味で、タンチョウをモチーフにする鶴丸を新たに掲げさせてもらう。元々、鶴丸をJALが掲げた際は、国際線に進出し、ジェット機を迎え入れて新たな道を歩み出すという、会社にとって創業の時代。このような初心・原点にもう一度帰ろうということで鶴丸を掲げた。新しいJALを創っていくんだという気持ちで制定した」
と感慨深げだった。
この日お披露目されたのは、ボーイング767-300ER型機(234人乗り)。国際線向けに新たに購入され、主にアジア路線で活躍する予定だ。2月28日午後には、「鶴丸」にちなんでツル鑑賞ツアー専用機として運航された。
3月中に追加出資の引き受け先や金額を発表
羽田空港周辺にみぞれが降った関係で翼に着氷したため、除去作業で出発が遅れるトラブルがあったものの、15時過ぎに213人の乗客を乗せて釧路空港(北海道)に向けて飛び立った。
なお、記者会見では、10年4月から11年1月の累計で約1685億円の営業黒字(連結ベース)を計上したことが明らかにされる一方、稲盛和夫会長が創業した京セラなどが新たに出資を検討しているとされる件については、
「追加出資は、あくまで私募で集めているもの。一般的な情報開示をしながら集めているようなものと違う」(瀬戸英雄・企業再生支援委員長)
としてコメントを避けたが、3月中に引き受け先や金額を発表する考えを示した。