ウィキリークス編集長ピンチ 暴行、レイプあったと裁判所認定

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   ロンドンの治安判事裁判所は、2011年2月24日、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ編集長(39)=スウェーデン女性への性犯罪容疑で逮捕され現在保釈中=の身柄をスウェーデン当局に引き渡すとの決定を下した。弁護団の主張はことごとく却下され、硬い表情のアサンジ容疑者は、裁判所の審理を「検事の言いなり」と非難した。

   日本で桜が咲く頃に、アサンジ容疑者がスウェーデンで被告席に座っているというシナリオに現実味が出てきた。

早ければ3月末、4月初旬にスウェーデン送還

   判決を不満とするアサンジ側は上訴する意向なので、上級の裁判所での審理に少なくとも1ヶ月はかかるとみられる。最終的に身柄引き渡しが認められれば10日以内にスウェーデンに送還されることになる。早ければ3月末、4月初旬という時期になるかもしれない。

   外交文書などの機密暴露でワシントンの逆鱗に触れたアサンジ容疑者が最も恐れていることは、米国に身柄が引き渡されることだろう。その意味では朗報があった。スウェーデンが米国に引き渡す際には英国の了解が必要だと、裁判官はひと言付け加えたからだ。

   全28ページの判決文を読むと、スウェーデンの元判事などの弁護側証人は一般論に終始し、アサンジ擁護の証言は裁判官を納得させるものではなかったようだ。

   性的行為が犯罪になるかどうかが裁判の争点であった。2010年の8月、アサンジがストックホルムを訪問した際に知り合った2人のスウェーデン女性とのセックスにからみ、全部で4件の行為が問題にされた。

就寝中で無力なことにつけこんでセックスを強要

1. 暴行。「(女性の)腕を押さえ、脚を無理やり押し開き、上半身を重ね体重を寄せたので(女性は)身動きができなかった・・・」というような表現が判決文にあり、このベッドでの行為は英国でも「暴行」になると裁判官は判断した。

2. コンドーム。セックス前にコンドームを使うことにアサンジは同意したにもかかわらず、結果的にコンドームを装着しないでセックスをした。女性はこの事実を後で知る。(コンドームが途中で破れたといわれている)。これも暴行の一種と裁判官は解釈した。

3. 性的いたずら。アサンジは「横になって勃起したペニスを彼女の身体に押しつけた」と判決文に書かれてある。この行為も英国で「いたずら」あるい「性的犯罪」と見なされるとされた。

4. レイプ。アサンジは女性が就寝中で無力なことにつけこんでセックスを強要した。英国でも「レイプ」(強姦)になると裁判官は判断した。

   以上のようにアサンジに対する性的犯罪の容疑は晴れなかったので、裁判官は身柄の引渡しを決定したわけだ。全面敗訴といえる判決を覆し、アサンジ側がスウェーデン行きを回避するには強力な弁護が必要になる。

(在米ジャーナリスト 石川幸憲)

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