イオン、セブン、楽天が挑む ネットショッピング宅配で「流通革命」

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   自宅のリビングで寛ぎながら、タブレット型の専用端末やテレビの専用リモコンを使ってネットショッピングを楽しむ時代が間もなくやってきそうだ。

   イオン、シャープ、NTT西日本など4社は2011年2月15日、イオンの通信販売サイト「イオンネットスーパー」などにつながるタブレット型多機能携帯端末を共同開発し、11年秋からサービスを開始すると発表した。

   セブン-イレブン・ジャパンとNTT東日本、都市再生機構(UR)などは、専用端末で食料品などの注文を受けて宅配するサービスを東京都内で2月4日から試験的に始め、将来的に実用化する方針という。

家族の誰もが簡単に使いこなせる専用端末開発

   パナソニックと楽天は薄型テレビの大画面と専用のリモコンを使い、楽天市場でネットショッピングができる新サービスを年内にも始める予定だ。いずれもイオン、セブン-イレブン、楽天といった流通業界が電機メーカーやNTTなどと組み、新たなビジネスモデルを築こうとする動きとして注目される。スーパーマーケットへ出かけなくても、その日の献立に必要な食材を端末で注文し、自宅に届けてもらうといった「流通革命」が起きる可能性がある。現在のネットスーパーのサービスがさらに多様化し、進化するのは間違いない。

   イオン、セブン-イレブン、楽天の3陣営に共通するのは、パソコンを使わず、子供からお年寄りまで、家族の誰もが簡単に使いこなせる専用端末を開発し、新たなサービスを提供することだ。「機器の操作が苦手な方やパソコンの起動が面倒な方にも簡単・手軽にサービスを利用いただける環境を提供する」(イオン陣営)という。

   とりわけ、パソコンの操作に不慣れな高齢者を顧客とすることができれば、スーパーが遠方で、体が不自由となって買い物がしにくい「買い物弱者」の高齢者にとっては朗報となる。富裕層の高齢者が仮想の百貨店などで高級ブランドを買い求めることなども予想される。

「コンビニの概念を時代に合わせて変えていく」

   イオンとシャープの陣営は、シャープのタブレット型多機能携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」をベースに機能を絞り込んだ端末を目指すとみられる。ガラパゴスはコンテンツを定期的に自動配信する機能があり、イオンは主婦や高齢者向けに電子チラシやセールス情報などを配信するという。イオンは今春から西日本で夏までに5000人規模の試験を行い、11年秋からイオングループの「ジャスコ」など全国450店を中心にサービスを開始するというが、気になる専用端末の価格は未定のままだ。

   一方、セブン-イレブン・ジャパンとNTT東日本などの陣営は、2月4日から東京都中央区と目黒区のURの集合住宅に住む約500の高齢者世帯で6カ月間の実証実験を行ったうえで、全国展開を目指すという。テスト対象の世帯には、高齢者でも簡単に操作できるNTT東日本のタブレット型端末を無償貸与し、注文に応じてセブン-イレブンが弁当や総菜など店頭の商品を届ける。配送料は200円。

   セブン-イレブンが提携する家事代行会社による洗濯や掃除などのサービスも試験的に行っている。セブン-イレブンは「コンビニの概念を時代に合わせて変えていかないといけない」と意気込む。

   しかし、スーパーやコンビニなどを巻き込んだ「流通革命」には課題もある。

   ネットスーパーのユーザーが高齢者層にまで拡大した場合の「受け皿」づくりだ。現行のネットスーパーは顧客の注文に応じて店員が実際に品物を集め、宅配するスタイルだが、顧客が拡大し食料品などに注文が殺到した場合、時間通りに宅配できるのかといった懸念が残る。必要なマンパワー、配送に必要な車両、在庫管理、リアル店舗との棲み分けなど検討すべき課題は多く、実証実験の成果が問われる。

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