「萌えにはストーリーが必要」
和歌山港と徳島港を結ぶ「南海フェリー」が萌えキャラを発表したのは11年1月22日。キャラクターはセーラー服を着た「和歌山育ちの高校1年生」という設定で、2月9日には徳島側のキャラクターも登場させた。
同社や和歌山、徳島両県などで構成される「和歌山徳島航路活性化協議会」が起用を決定し、デザインは和歌山市内のイラストレーターに依頼したという。
「フェリーというもの自体を知らない若い世代にアピールしていきたいと考え、ゆるキャラではなく美少女キャラを採用した」(南海フェリー)
こちらは1月から2月にかけて2度キャンペーンを実施し、期間中に乗船してアンケートを答えた乗客に下敷きや缶バッジをプレゼントした。
萌えキャラを起用する団体、組織は全国各地で後を絶たない。2008年11月に発売された秋田県うご農業協同組合の「あきたこまち」のように、人気イラストレーターの描いた美少女キャラをパッケージに採用し、通常は3年かかって売る量の米が3か月で売れてしまうほどの大ヒットとなった例もある。
フェリー会社の萌えキャラの採用について、ネットでは、「かわいい」「右上が萌え」「悪くない」といった好意的な反応のほか、「船体に描かれていないのか」「もっとデフォルメが必要」「色が悪い」「ストーリーが伴っていないと萌えない」など、厳しいながらも改善へ向けたアドバイスが多く見られる。
南海フェリーの担当者は、「船体へのラッピングなどは、お客様の要望に応えるかたちで検討していきたい」としている。
フェリー業界にはさらなる試練が待っている。普通車の場合の片道料金は、宇野(岡山)-高松航路が平日2700円・休日2480円(4月1日からのキャンペーン料金)、和歌山-徳島航路が5600円から。
これに対して、政府が発表した11年4月からの高速道路新料金は「平日上限2000円」。本四道路の上乗せ料金はETC搭載の普通車が平日500円と安く設定される。
人気の萌えキャラたちの戦いは4月以降が本番となりそうだ。