オリンピックでも上位入賞するなど「卓球王国」として知られる中国の卓球界に、「年齢詐称疑惑」が持ち上がった。ここ数日、中国メディアが相次いで報じている。不正の歴史は30年以上に及び、「さば読み」に手を染めている選手の割合は、全体の9割にのぼるという指摘もある。
2011年2月には、女子フィギュアスケート選手の年齢詐称疑惑が報じられたばかりで、中国のスポーツが構造的に抱えている問題だとも言えそうだ。
活躍中の選手が世代交代防ぐため「さば読み」
広州日報では2011年2月24日、「内部事情に詳しい人」の、こんな話を紹介している。
「卓球選手の90%が年齢を変えている。(クラスメイトの)M選手とW選手の小学校時代の書類を調べたら、現在公開されている資料では、きっと年齢が一致しないはずだ。後にM選手は活躍するようになったが、元々の資料より1歳若くなっている」
「勝ち負けが全て」の世界では、本来ならは年齢を詐称する必要はないはず。90%が年齢を詐称というのは、仮に本当であれば、異様な話だ。なぜ、そのようなことをする必要があったのか。この関係者は、このように説明している。
「だが、M選手は後に、1歳しか年齢を修正しなかったことを後悔するようになった。今のメディアの関心事は、『古株がいつ引退して、新しい人にバトンタッチするか』。最初に多めに年をごまかしていれば、この問題に煩わされることはなかっただろう」
では、M選手は、なぜ1歳しか、さばを読まなかったのか。同紙の記事では、「事情通」が背景を解説している。
「M選手が小さいときは、どれだけ有望かが分からなかったので、監督は重視しておらず、1歳だけ改めさせた。だが、後にM選手が大活躍。この時点では、再び年齢を改めるのには間に合わなかった」
すでに活躍している選手が、既得権益を守るために「さば読み」を行った、というのが実際のところのようだ。
サッカーなどスポーツ界で幅広く行われている
さらに同紙では、
「『さば読み』は、中国のスポーツ界の大きな特徴。サッカーだけではなく、いくつかの金メダルを取るような種目も例外ではない。国家スポーツ局も、選手の年齢の管理を強化しており、競技団体のトップも、さば読みを非難している」
とも分析。「さば読み」行為は、スポーツ界で幅広く行われていることを伺わせる。その上で、同紙では
「この問題は深刻で、新たな世代に活躍の場を返さなければならない」
と、公正な形で世代交代を行うことを求めている。
そんな中、長春晩報が2月25日に報じたところによると、中国卓球協会は、青少年向けの卓球大会で悪質な年齢詐称が見つかった場合、違反チームの参加資格を取り消す方針を打ち出したという。
11年2月には、トリノ五輪銀メダリストを含む9人の女子フィギュアスケート選手にも年齢詐称疑惑が浮上。大会出場資格がないまま出場していた可能性も指摘されていたが、中国スケート協会は
「大会出場時の年齢が本当で、ウェブサイトに公表されている年齢が誤りだった。データ管理が不十分だった」
などと釈明していた。