東京都知事選の告示まで、たった27日しかない。それでも、立候補が取りざたされる有力な顔ぶれが一部を除き態度を鮮明にしない「後出しじゃんけん」競争が続いている。
東国原英夫・前宮崎県知事について「都知事選出馬へ」と、時事通信が2011年2月24日夜に報じたが、25日夕現在もほかの顔ぶれを含め、都知事選について表立った進展はなかった。「後出しじゃんけん有利」にこだわり、政策そっちのけで政治的駆け引きが優先されているようにも見える現状に、インターネット上などで「本当に都政に対するビジョンはあるのか」とあきれる声も出ている。
東国原氏3月上旬までに態度を明らかにする考え
東国原氏を応援する「英(はなぶさ)の会」の設立パーティーが2月25日、都内であった。東国原氏は以前より、都内からの国会議員立候補と都知事選の「両にらみ」で準備を進めているとされ、それが具体的に表面化した形だ。東国原氏は同日、記者らに3月上旬までに態度を明らかにする考えを示した。
また、東国原氏は同日のブログで「出馬へ」報道について、「こういうことが何度も続けば(略)『出る出る詐欺』だとかいう風評も出てくる。困ったものだ。こちらは何も言ってないのに…」と書いている。
東国原氏だけでなく、以前から民主党の蓮舫・行政刷新担当相や新党改革の舛添要一代表、猪瀬直樹・都副知事らの名前が挙がってきたが、いずれの人物もあいまいな発言を繰り返すにとどまっている。
自身も去就を明らかにしていない石原慎太郎都知事が過去の都知事選で「実践」して流れをつくった「都知事選は後出しじゃんけんが有利」説を意識し、横目で他陣営の動きをうかがっているように見える状況だ。
その石原知事については、最近になって、「不出馬の意向」(朝日新聞、2月22日付夕刊)、「4選不出馬」(産経新聞、23日付朝刊)などと報じられ始めた。自民党が1月に石原氏の立候補を促す方針を決めたころは、「本人もやる気あり」との見方が強まったが、空気は一転した。「後継」として、神奈川県知事の松沢成文氏を石原氏が「指名」する(した)との報道もある。松沢氏も含みのある発言をするにとどまっている。
しかし、石原氏は依然、態度を明確にしないこともあり、「不出馬報道」は、誰が手を挙げるかをあぶり出すためにあえて流した情報で、それを見極めた上で石原氏が判断するといううがった見方もある。「石原出馬」の目はまだあるというわけだ。