高橋洋一の民主党ウォッチ
小沢問題優先で地震対策後回し 菅政権の信じられない「混乱」

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「中国のような」官尊民卑の政策

   財務省は「賃借料収入は同じ期間の国債の発行コストなどを上回ることを条件とするので、定借の方が財政に貢献できる」と説明するだろう。小泉政権の時も同じことを言っていた。それに対して、「それだけの収益を上げられるなら、土地を民間に売却すれば、民間はその時の有効活用を国よりよく考えてビジネスをする。その結果、土地関連の事業収入もでて、それへの法人税等が生じることを考えると、売却のほうが財政貢献が大きい」と筆者は反論した。

   もし財務省のいうように、土地を国有にしたほうがいいなら、資本主義の基本である土地の私有財産制を否定し、土地はみんな国有地として民間に貸与するほうが効率的ということになってしまう。財務省の主張の前提には、民間が土地を所有すると最大に有効活用を考えるという点が抜けていて、国が所有する方が望ましいという官尊民卑の思想が入っている。

   小泉政権の時には、筆者の主張が採用され、国有地は売却される方針であった。ところが、政権交代して民主党政権になったら、国が土地を所有するほうがいいという考え方に変わってしまった。まるで土地の私有財産制の否定のようであり、中国のようだ。

   新聞記事では、土地を売却すると「霞ヶ関埋蔵金に使われる」と書かれているが、資産を墨守し増税を言い張る財務省の言い分であり、国民の意見ではない。

   大手新聞の大手町の土地は、もともと国有地だったのを財務省(当時大蔵省)から安く譲渡されている。だから、今でも大手新聞は財務省に頭が上がらない。だからといって、大手新聞が財務省の言い分をそのまま、引用の形でなく地の文で書くのは情けない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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