リビア情勢の悪化で、株式や為替相場が混乱する中、「金」の価格が再び急騰している。金先物相場は2011年2月22日、ニューヨーク商品取引所(COMEX)で、中心である4月物が前週末に比べて12.5ドル高い1トロイオンス1401.1ドルで終えた。6日連続の上昇だ。
国内では2月23日の東京工業品取引所(TOCOM)の金先物市場で取引の中心である12月物が1グラムあたり3727円となった。前日比30円安だったが、3700円超の高値水準にある。
田中貴金属工業によると、金地金も同日は小売価格で前日比43円安の1グラムあたり3938円だった。7日続伸した反動とみられるが、約30年ぶりの高値水準であることに変わりはない。
「原油高によるインフレ懸念」で買われる
世界的な金価格の上昇は、エジプトの反政府運動が拡大した1月下旬ごろに始まり、さらに緊迫するリビア情勢で弾みがついた。地政学的な要因から運用の「避難先」として実物資産である「金」が買われたとみられ、いわゆる「有事に強い金」を印象づけた格好だ。
TOCOMは、「金価格の上昇は原油と同様、実物資産を持っておこうという投資家の動きがあります。原油高が先行していて、それにつれて急騰している感じです」と話す。
2月22日には取引の中心である12月物が前日比33円高の1グラムあたり3773円を付けて、2か月半ぶりの水準となった。23日はやや下げて3727円だったが、「これは為替相場が円高に動いた影響もあって、キャンセルがあった」ことが原因。ただ、「ドルベースの動きを見ると、騰勢は続くとみることができる」と話している。
もう1点は、インフレ懸念の強まりがある。貴金属の老舗、田中貴金属工業は「インフレの指標でもある原油価格が高騰したことで、インフレ懸念が強まったことが大きいです」(貴金属部)と指摘する。
それによって、欧米の機関投資家などを中心に、「インフレに強い」といわれる金が買われた。