「乗っ取るかのような誤解が解けなかった」
さらに2010年6月には、かねて業務提携関係にあったエステーを引受先とする第三者割当増資を実施し、エステーがフマキラー株15%を保有。筆頭株主もアースからエステーに交代した。
フマキラーの海外販売網は「お部屋の消臭力」などの芳香剤や防虫剤「ムシューダ」が主力のエステーにとっても魅力的だ。フマキラーにとっては国内殺虫剤の最大手に飲み込まれるよりは、日用品同士ながら商品構成が重なられないエステーと組む方がいいと判断したようだ。
アースの大塚達也社長はフマキラー株を発表した2011年2月14日の会見で「(殺虫剤の)業界再編なども視野に入っていたが、(フマキラーを)乗っ取るかのような誤解が解けなかった」と撤退理由を語った。ただ、同日、別途会見したエステーの鈴木喬社長はフマキラー株の追加取得や経営統合を否定。25.6%の筆頭株主として、フマキラーを持ち分法適用会社にとどめ、緩やかな提携を続ける。新日本製鉄と住友金属工業が合併方針を決めるなど、産業界に再編機運はあるが、「乗っ取るかのような誤解」では成功しないことを示した。