外務省は「革命指導者」
2月22日付の各紙朝刊1面(東京最終版)をみると、「最高指導者カダフィ大佐」(朝日、産経)、「カダフィ大佐」(毎日)、「最高指導者カダフィ氏」(読売)と表記している。海外メディアも、大佐と訳されることが多い「カーネル」をカダフィ氏の名前に付けているところが少なくない。
外務省のサイトなどによると、外務省はカダフィ氏の呼称について、「革命指導者」を使っている。また、小池議員が会長を務める「日本リビア友好協会」サイトでは、「カダフィ指導者」との表現になっている。リビア現地でも「革命指導者」という表現が使われているようで、09年9月の朝日新聞記事「石油の恩恵、不満封印 カダフィ体制40年 リビア」には、朝日記者がリビア現地取材で、開拓農家に対し「この水はアラーの恵み? それとも革命指導者(カダフィ大佐)からの贈り物」と(通訳を通して?)話しかけたくだりが載っている。
「大佐」呼称が使われる理由について、10年2月22日付の朝日新聞朝刊は、「(カダフィ氏は現在)具体的な役職がないため、『大佐』の肩書きが便宜上よく使われる」としている。
また、同日付の読売新聞朝刊によると、「(無血クーデターの)その後、大佐に昇格し、その地位のまま」として、「(エジプトで先行してクーデターを成功させ)『大佐』となったナセル元大統領にならったとの説もある」と紹介。「本人は『もう軍人ではない。大佐でもない』と説明している」とも指摘している。
2月22日付夕刊各紙では、衛星テレビ局アルジャジーラなどが、リビアの首都トリポリで戦闘機が反体制デモ隊を空爆し、多数の死者が出ていると伝えたことを報じている。
「最高指導者カダフィ大佐」が「大佐」かどうかはさしたる問題ではなさそうだが、カダフィ氏が「最高指導者」であり続けるかどうかは、人命が絡む大きな問題となっている。