「原油価格は理想的にはバレル当たり70‐80ドルが値ごろだと思うが、実際には85ドルから100ドルくらいで推移することになるだろう」
JXホールディングスの西尾進路会長は2010年2月16日、日本外国特派員協会(FCCJ)で講演し、中東・北アフリカの政治不安を背景に値上がりを続けている原油価格の先行きについて見解を求めた私の質問に、こう懸念を示した。
「グループ全体の利益に与える影響は中立だ」
「原油価格の上昇は石油製品価格の値上がりにつながるので国内の石油製品需要が減るのが心配のタネ。石油需要が減った分はLNGや石炭、新エネルギーに注力する」という。ただ「上流では原油の値上がりは利益に結びつくのでグループ全体の利益に与える影響は中立だ」と指摘した。
JXホールディングスは新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合して2010年4月に発足した日本最大の石油元売り企業。石油の販売シェアは約38%を占める。西尾会長は「日本の石油需要は毎年3、4%減っており、精製能力の供給過剰が続いているが、JXは精製能力の削減を進めて稼働率を上げている。JX誕生で利益が出るようになっており、もっとシェアを伸ばして業界をリードしていきたい」と強調した。