鳩山由紀夫・前首相が民主党政権をぶっ壊し兼ねない発言を連発している。北方領土問題から沖縄・米軍基地問題と北から南までを巻き込んでひっかき回している。マスコミや野党は言うに及ばず、民主党内からも反発や冷ややかな声が挙がっている。
鳩山氏による「北方領土4島一括返還にこだわるべきではない」発言を受け、政府は2011年2月15日の閣議で、鳩山氏の見解は政府の考えとは「必ずしも一致していない」とする答弁書を決定した。前首相である鳩山氏の発言であるだけに、わざわざ「(政府方針に)変更が生じた事実はない」と説明しなければならないはめに陥った。
北沢防衛相「人生の中でも1、2を争う衝撃的なこと」
2月13日には、沖縄の米軍普天間基地移設問題に関連して、鳩山氏が首相当時に県外移設を断念する理由として挙げた「抑止力」について、鳩山氏が「それを方便と言われれば方便だ」などと述べたとするインタビューが地元紙などに掲載されて問題になっていた。
鳩山発言を受け、民主党の閣僚らが対応に追われ、「抑止力」などについて政府見解に変動はないことを強調した。正式見解の再確認だけでは気が済まなかったのか、北沢俊美防衛相は2月15日、会見で鳩山発言について「また数日経ったら違う見解が出るかも分からないので、今慌ててコメントすることは差し控えておきます」と、鳩山氏の「言葉の軽さ」を痛烈に皮肉った。発言したときの表情は真顔で、冗談めかして言ったわけではなく、怒りを押し殺した上での発言にもみえる。
鳩山氏の側近、大畠章宏・国土交通相ですら「ご発言しない方がいいのではないか」と述べたほどだ。
北沢防衛相は2月16日の衆院予算委員会では皮肉から一転し、「私の人生の中でも1、2を争う衝撃的なことだった」と真っ正面から鳩山発言を批判した。
2月16日配信の新聞社記事をみても厳しい見出しが並んでいる。「鳩山氏の発言―『方便』とは驚きあきれる」(朝日、社説)、「『抑止力は方便』 無責任極まる鳩山発言」(毎日、社説)、「沖縄で鳩山さんの名、『地に落ちた』」(読売)などだ。