6か月間で報酬を1人月1万円しかもらっていない――。K-POPグループ「KARA」のメンバー5人のうち3人が、こう主張して事務所相手の訴訟を起こし、分裂や解散のピンチと報じられている。日本では「月1万円」とは随分低額だが、真相はどうなのか。
「私達KARAはこれからも5人で頑張っていきます」
所属事務所側「契約に基づき支払っている」
公式サイト上でこう誓ったばかりの中、KARAにまた不穏な動きが報じられた。
メンバー3人が日本から帰国翌日の2011年2月14日、所属事務所のDSPメディアを相手取り、専属契約不存在確認を求める訴訟をソウル中央地裁に起こしたというのだ。
3人は、スンヨンさん(22)、ニコルさん(19)、ジヨンさん(17)。いずれも、1月19日に「人格を冒涜された」として事務所に専属契約解除を通知していたメンバーだ。その後、同27日には、5人で活動継続することで事務所と基本合意したと報じられたが、実際は和解までには至らなかったわけだ。
訴えによると、日本デビュー前にアルバム「LUPIN」で人気を集めた10年1~6月に、1人当たり約6万円しか報酬が支払われなかった。つまり、月給計算で1人1万円しかもらっていなかったことになる。これは、単純に考えると、日本なら生活できないレベルだ。KARAの3人は、事務所が利益を少なく操作していたとも指摘しており、収益金がきちんと分配されていないと訴えている。
これに対し、DSPメディア側は、契約に基づき支払っており、3人の一方的な主張だと反論。現在、対応策を話し合っているという。
大手紙の中央日報などでは、この騒ぎでKARAに解散の可能性があると報じている。日本でも、ファンから心配の声が出ているようだ。
本当に月1万円だけの報酬だったのか。
KARAのCDを出しているユニバーサルミュージックでは、取材に対し、「状況が分からないので、こちらでは何ともお答えしかねる」と言う。DSPメディアジャパンでは、担当者が韓国出張中ということだった。
ダンスなどレベル高く、分裂しても活躍できる?
韓国事情にも詳しい芸能評論家の肥留間正明さんは、月1万円の報酬というのは、お小遣い分だったとみる。
「韓国では、タレントに部屋や食べ物まで支給しているケースがほとんどです。交通費も払っています。タレントは外で遊ぶ必要もないと考え、お小遣いとしてあげていたのでしょう。給料に関して言えば、新人クラスでは1万円は妥当な線かもしれませんね。安いと言えば安いですが、韓国では珍しくありません」
もっとも、スターにまで成長すると、タレント側からは不満も出てくるという。
「売れてくると、日本のタレントと比較するようになり、冗談じゃないと思うのでしょう。ダンスのレッスンや語学習得などに事務所が多額の金を投入しており、それを回収するために長期契約を結ぶのですが、タレントにとっては、売れていない時代の契約そのままと感じてしまいます。韓国では、タレントは一番稼げると考えられており、親もレッスンなどに多額の投資をしています。KARAの場合、親が口出ししたのも、そのためなんですよ」
争いが法廷に及んだことで、分裂や解散も現実味を帯びてきた。ギャラの問題で事務所ともめた東方神起も、その後活動を休止して、別グループに分かれている。
ただ、肥留間さんは、KARAが分裂などしても、活躍の余地はあるとする。
「韓国政府は文化輸出に力を入れており、東南アジア諸国でも通用するようなタレントを育てています。ダンスなどが鍛えられ、そのレベルは日本より高いですね。グループに分かれるなどしても、東方神起のように、うまくやっていける可能性はあると思いますよ」