1年8カ月に渡り月間新車販売ランキングのトップを堅守したトヨタ自動車「プリウス」がついに1月の販売台数でホンダ「フィット」に首位の座を明け渡した。台数差は約1千台の僅差だったが、プリウスの陥落により「ハイブリッド車さえ売れなくなってしまったのか」と落ち込みが続く国内市場を嘆く声も聞こえてくる。
プリウスは2011年1月の新車販売でダイハツ工業の軽自動車「ムーヴ」にも抜かれ3位に後退。エコカー補助金終了による反動がいよいよハイブリッド車(HV)にも波及してきたかに見える。
「年末に多少、無理な売り方をした」
ただ、一連の順位変動についてトヨタ、ホンダの両陣営はともに冷静な見方している。
「もともと1月のトップは諦めていた」とトヨタ系列の販売店関係者が胸中を明かすように、販売現場ではフィットの首位奪還は当然の結果として捉えられている。
その理由は「プリウスは年末に多少、無理な売り方をした」(トヨタ系列販売店)ことにある。
2010年1~12月で31万5669台を販売し、1990年にトヨタ「カローラ」が樹立した30万8台の年間販売記録を20年ぶりに更新したプリウス。トヨタは年間販売記録の更新とともに、一年を通じて月間販売ランキングの首位を維持するというプリウスの「完勝」を狙っていた。
今年もプリウス・フィットの首位争い過熱しそう
2010年10月の「フィットハイブリッド」発売を機に、プリウスとフィットの台数差は急速に詰まり始めた。波に乗るフィットとの販売競争を制し、年間販売記録と連続首位を手にしたプリウスだが、年明け以降の失速は免れず、1月の月間販売であえなく3位に転落。プリウスは「売れなくなった」のではなく、皮肉にも「売りすぎた」ことが首位陥落の要因になった。
エコカー補助金終了の反動が懸念される国内市場だが、首位奪還を果たしたフィットの販売構成比も5割以上がHVモデルとなっており、HVが依然として根強い人気を維持していることがわかる。トヨタとホンダは、ともにワゴンタイプの新型HVを今春に発売する計画。今年もプリウス、フィットの首位争いが過熱しそうだ。