「もしこのまま何もしなかったらどうなるかの議論や説明が欠けている」
国の行く末に警鐘を鳴らすのは経済同友会の桜井正光代表幹事(リコー会長)。2011年2月4日「日本再生のビジョン」をテーマに東京都内で開いた同友会と日本経済研究センター共催シンポジウムで改革の先延ばしを続ければ財政破たんの可能性があり、日本破綻への道をたどるのは明らかだと強調した。
「企業経営ではつぶれることがあってはならない。どうするのか考えるわけだが、国の経営ではなかなかこのままいったらどうなるかの議論はしない」
経済同友会が外部のシンクタンクに委託してシミュレーションしたところ、現在のままの財政状況が続けば2030年度には中央・地方政府の債務残高は対名目GDP比率が300%を超える見通し。財政・税制改革と社会保障制度改革を実行すれば財政は健全化に向かうが経済はマイナス成長が続く。
これに経済成長戦略を加えた改革を実行した場合は2010年代後半にプライマリーバランスが黒字化し経済もプラス成長になるが、それでも2030年度の債務残高の対GDP比は100%をきることにはならないという。「成長戦略を加えた一体改革はどうしても必要だ」としめくくった。