新宿駅で2011年2月11日午後9時に、若い男3人組が殺傷事件を起こすとする犯罪予告が、インターネット掲示板「2ちゃんねる」に何度も書き込まれ、周囲には厳戒態勢が敷かれたが、同日中に事件らしきものは起こらなかった。
「2ちゃんねる」で、犯人を名乗る人物による犯行予告がはじめて書き込まれたのは2月6日。書き込みによると、2月11日午後9時、新宿駅ハイウェイバスの入り口あたりで、30歳、29歳、27歳の男3人組が通り魔を起こす。1人はレンタカーで通行人に突っ込み、残りの2人がナイフで通行人を刺すなど手口が具体的に記されていた。そのため、ネット上の犯行予告の収集・通報サイト「予告.in」でも、警察に緊急通報していた。
俺達は死刑覚悟だぜ?死ぬのなんか怖くないぜ?
書き込みによると、そのうちの1人(30歳)は、最終学歴は「高校」、職業は「pcをやること」とし、共犯者は「定時制高校の同級生」だと明かしていた。また、事件当日も午前中から、犯人を名乗る人物は「早く殺りたいな」「テレビで会えるから安心しな」「それにしても警察官は馬鹿」「17時友達と新宿に行く」「みんな俺達のこと馬鹿にしてるが、今にみてろ」などと書き込んだ。
「最後に言いたいこと。生きる。死ぬ。なんてどうでもいい。死刑が怖くて(死ぬのが怖くて)なんて思ってない。俺達は死刑覚悟だぜ?死ぬのなんか怖くないぜ?」
2008年に秋葉原で起きた、通り魔事件を思わせる書きぶりだった。
これに対し、「2ちゃんねる」には「どうせ釣りだろ?」と疑うものから、「行っても何も出来ずに取り押さえられるだけ」「お前も後悔するがやられた家族と本人と気持ち考えてみろ」「やめておけ ご両親が可哀想だろ」「他人を不幸にまきこむな」などと諭す声も寄せられていた。
「新宿は大丈夫だったのか?」
予告された現場前には、車一台分が通れる幅の狭い道路があり、道路をはさんだ反対側は飲食店などがある。同日午後8時過ぎに問題の場所に行くと、現場や周辺通路には多くの警察官らが配置され、「厳戒態勢」がとられていた。パトカーや救急車も近くに停車。職務質問されている人も見かけ、飲食店付近には数十人にのぼる野次馬も。また、webカメラで撮影している人も何人かいた。動画配信サービスによる生中継をするためだ。
予定時刻の午後9時が過ぎても何事も起きず、周囲にいた人の数は徐々に減っていった。この「新宿未遂事件」はツイッター上の話題になった。「新宿は結局無事ですか?」「新宿は大丈夫だったのか?」など安否を気にかける人から、「よかったねー。何もなくて」「何事も無かったみたいで安心しました」と胸をなで下ろす人まで。3連休の初日となったこの日、東京では雪が舞っていた。