米インターネットサービスのAOLが、ブログニュースメディア「ハフィントン・ポスト」を3億1500万ドル(約259億円)で買収すると発表した。
しかしAOLは、過去にメディア大手のタイム・ワーナーと合併したものの思ったような相乗効果が上がらず、事実上失敗に終わった苦い経験がある。今回の発表に対しても、早くも「二の舞」を懸念する声が出始めている。
「1足す1は11になる」とハフィントン氏
スタートから6年弱で、月間訪問者数が2500万人に上る全米屈指の人気オンラインメディアに成長したハフィントン・ポスト(HP)を手に入れたのは、AOLだった。HP創設者で編集長を務めるアリアナ・ハフィントン氏は2011年2月7日、自らHPに長文を投稿し、AOLへの売却の経緯を詳しく説明。契約書にサインしたのは2月6日、AOLのティム・アームストロングCEO(最高経営責任者)の招きでアメリカンフットボール「NFL」の優勝戦「スーパーボウル」を観戦中のことだったと明かした。
AOLは買収完了後、「ハフィントンポスト・メディアグループ」を開設。HPと、2010年9月に買収したITブログメディア「テッククランチ」や、地図サービスの「マップクエスト」など既存のサービスを統合して、ハフィントン氏を社長兼CEOに据える。
ハフィントン氏は「ティムと私はこれまでずっと『1足す1は11になる』と言い続けてきました」と自信をみせ、アームストロング氏も米メディアの取材に対して、「次世代のメディア企業を目指す」とこたえた。
しかし、この買収劇が明らかになった直後から、AOLの舵取りを不安視する向きもある。根拠は過去の失敗だ。AOLは2000年、CNNやワーナーブラザーズを傘下にもつメディアグループ、タイム・ワーナーと合併。当時は新興のネットサービスと巨大メディアとの「結婚」と注目を集めた。だがAOL自体の事業が伸び悩み、期待されたほどの合併効果が生まれないまま2009年、AOLはタイム・ワーナーから分離して合併は解消された。HPを買収しても、結局はこのときのように尻すぼみになるのではないか、と危惧されているのだ。