嘔吐うやむやにするテレビ番組に疑問
ただ、全員がそうかというと、鈴木眞理教授は、必ずしも断定はできないとする。
「代謝が極めてよい家系に生まれるという、先天的なものの可能性はあります。食べても太らずに、すべて熱にして発散してしまう遺伝子を持っているということです。いわゆる『やせの大食い』と呼ばれているものですね」
ただ、それも何万人に1人というレベルで、骨皮状態にまでやせていることは考えにくいという。
前出の元フードファイター女性は、摂食障害の患者には、選手よりたくさん食べられる人もいるとブログで明かす。しかし、フードファイターになれるのは、人前でそれができたり、すぐに嘔吐しなくて済んだりする人だけだという。
フードファイターについては、食べ物を大切にし、心の栄養補給にしている人だとして、否定してはいない。しかし、テレビ番組が嘔吐の事実をうやむやにしていることに対しては、患者のためにならないと疑問を投げかけている。
鈴木教授も、大食いのあり方に警鐘を鳴らす。
「わんこそば競争で10杯をいかに速く食べるかというなら分かりますが、エンドレスに食べるというのはどうか。摂食障害は、アルコール中毒と同じ精神的な病気であり、食べているときは気分がいいんですよ。フードファイターに出るのは、恥ずかしくないと思うように、食べると人柄が変わるからでしょう。しかし、実際のところは、嘔吐するなどして体を酷使しているわけです。そのへんのところについてテレビ局がどのような認識なのか、知りたいですね」