「北方領土の日」にあたる2011年2月7日、右翼団体が在京ロシア大使館前でロシア国旗を侮辱する行為を行ったとして、ロシア側が「右翼団体」の処罰を求めている。だか、過去に海外で日の丸が燃やされるなどしても、日本側が外国政府に抗議したり、捜査などを求めたケースはほとんどない。対応の仕方によっては、菅政権は、新たな火種を抱えることになりかねない。
ロシア側が問題視しているのは、2月7日の「北方領土の日」に、在京ロシア大使館の前で行なわれた抗議活動だ。
日本の刑法には「外国国章損壊罪」が定められている
ロシア国営の「ロシアの声」によると、ロシア国旗を引きずったり、引き裂いたりする行為があったといい、ロシア大使館は同日中に、これを「言語道断で、許すことができない」などとする抗議文を送った。さらに、2月8日には、セルゲイ・ラブロフ外相が、イタル・タス通信に対して、
「日本には外国の象徴を冒涜することを禁じる法律がある」
として、事件として捜査することを求めている。日本の刑法では、「外国国章損壊罪」(外国政府による親告罪)が定められており、外国国旗を取り除いたり、損壊・汚損したりした際には、2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられることになっている。ただ、実際にこの罪が適用されたケースは、ほとんどない。
例えば、1958年に、長崎市で中国国旗「五星紅旗」が右翼団体の男に引きずり下ろされた事件では、中国が猛反発したが、当時は中国と外交関係を結んでいなかったため、国旗だとはみなされず、軽犯罪法で処罰されている。