自然エネルギーによる省エネやCO2削減の一環として、太陽電池パネルの利用が進められるなか、次世代型といわれる「CIS型」太陽電池パネルが登場した。昭和シェル石油グループのソーラーフロンティアが開発したもので、2011年2月に世界最大規模の宮崎・国富第3工場の稼働がはじまり、住宅用パネルとして本格的な量産体制に入る。
太陽電池市場はこれまで、シャープや日立、京セラなどの「シリコン型」が主流だった。参入メーカーが増え、過熱する低コスト競争に加えて、新たな「CIS型」の登場で競争がますます激しくなりそうだ。
「CIS型」は発電効率がよく、耐久性がいい
太陽電池パネル市場は、地球環境保護の高まりとともに拡大している。市場調査の富士経済によると、2010年の太陽電池市場は2兆1187億円で、前年に比べて約1.3倍に成長。さらに、2025年には8兆9978億円に拡大するとみている。
太陽電池パネルには、太陽光を吸収するパネルの材料にシリコンを使う「シリコン型」と、銅やインジウム、セレンといったカルコパイライト系の化合物を使用する「CIS型」に分かれる。
シリコン型のうち、最も古くから使われている「単結晶シリコン型」はシャープや日立が製造。コストが高いため、最近は安価な「多結晶シリコン型」への移行が進み、シャープに加えて、京セラや三菱電機などが参入している。中国も攻勢を強めており、市場価格はどんどん押し下げられているのが現状だ。
これに対してCIS型は、ソーラーフロンティアが独自の先端技術で量産化を実現した太陽電池パネルで、市場に出回っているCIS型パネルのほとんどを同社が生産しているといってよい。
CIS型は発電量の多いのが最大の特徴で、多結晶シリコン型に比べて、年約8%上回る。同社執行役員・技術本部長の栗谷川悟氏は「CIS型は発電量が多いのがメリット。ご自宅で実際に使っていただければ、それを実感していただけるはずです」と胸を張る。
過酷な条件でも劣化が少なく、国内メーカーで20年間の出力保証を打ち出しているのも同社だけだ。