深センの新興市場は1年で100社以上が新規上場
東証は新興市場の信頼回復とIPO増加を狙い、新規上場を予定する企業に上場企業並みの監査を義務づける一方、新規上場審査は緩和し、上場審査期間も短縮するなどの改革案を発表した。1月中旬には、未公開ベンチャー企業にマザーズを知ってもらうための「ベンチャー・フォーラム」も初めて開き、「マザーズ出直し」(東証幹部)に取り組んでいる。斉藤社長は海外での営業活動にも繰り出し、韓国企業の上場の手応えも感じているようだ。
しかし、新興国市場の成長ぶりはすさまじく、中国・深センの新興市場「創業板」には1年で100社以上が新規上場している。ある日本のベンチャー企業経営者は「これからは市場が縮む国内より新興国。中国での展開に有利な台湾での上場を検討している」と語る。国内のベンチャー企業が韓国やシンガポール、香港などでの上場を志向する流れが今後、加速しそうだ。
韓国取引所に至っては、株式市場がなかったラオスやカンボジアへ取引所そのものを売り込むビジネスを始めている。海外から上場企業を連れてくるだけでなく、自ら乗り込んでいって取引所を開いてしまう発想は、日本の取引所にはみられない。
国際取引所連合によると、東証の2010年の年間株式売買代金は、2009年に続いて上海取引所に次ぐアジア2位となり、首位奪還はならなかった。新たな発想で活性化を進めなければ、東証の地盤沈下は止められそうにない。