ホテル業界には貸し出しが広がっている?
告訴の事情について、生田署では、次のように説明する。
「ゲームソフト業界の処罰意識は、とても高いものがありました。ソフトを作るのには多額の金がかかっており、貸し出しを見逃すとビジネスに差し支えるということです」
コンピュータソフトウェア著作権協会によると、ゲームソフト貸し出しでホテルが摘発された例は、2002年7月に1件だけある。愛知県内のホテルがそうで、しかし、このときは、役員男性らが書類送検されたのみだった。
今回、なぜ逮捕したかについては、生田署の担当者は、こう説明する。
「『著作権侵害になるとは思わなかった』と故意性について当初否認しており、証拠隠滅の可能性が高いと判断したことがあります。ファミリー経営企業でもあり、口裏合わせの恐れもありました」
ゲーム貸し出しについては、まんが喫茶やネットカフェは、業界団体の日本複合カフェ協会を通じて、著作権者の許可を得ている。しかし、コンピュータソフトウェア著作権協会によると、ホテル業界にはこうしたものがないという。
まとまったニーズがないからというが、個々には貸し出しサービスが広がっている可能性はありそうだ。
そんな中で摘発が2件に留まっていることについて、協会の広報担当者は、「警察が立ち入るなどしてしか、裏が取れないこともあると思います。告訴するかは、それぞれの著作権者の判断ということもあります」と言う。
今回告訴に踏み切った任天堂でも、「確かに、氷山の一角かもしれません。しかし、警察から照会がある場合などに排除するしかできないのも事実です」(広報室)と話している。