何の解決にもならず、現状のまま流れていく
2010年10月に日本経団連が倫理憲章を改定するきっかけをつくった、大手商社などが加盟する日本貿易会は2013年春入社の新卒採用について、採用試験を4年生の8月以降にずらすことを提案した。
しかし、当の大学生の心境は微妙だった。商社を第一志望にしている学生にとって、希望がかなわなかった場合は、「掛け持ち」ができなくなるので、他業界の企業を受験できなくなる恐れがあるからだ。
日商や大学側が支持している、経済同友会のスケジュール案でも異論はある。夏休みの有効活用という狙いはわからないではないが、とくに理系の学生は卒論が間に合わなくなるなど、学業に支障を来たすと指摘されている。海外留学などの機会を奪うともいわれる。 著書に「就活のバカヤロー」がある石渡嶺司氏は「学生としては後ろにずれることを歓迎している人のほうが多いようです。ただ、経団連の倫理憲章にしても同友会にしても、単なるスローガンでしかないこともわかっています。結局、何の解決にもならず、現状のまま流れていくのだと思います」とみている。