「速やかに対応を始める必要があった」
そして、総務省の外部識者からなる「年金業務監視委員会」に期待を寄せ、「厚労省とは別の立場から、くわしい経緯を調べ、点検して是正を促してもらいたい」と注文している。さらに、「今からでも遅くない。このような不公平な措置は、やめるべきだ」と断じた。
同委員会は、朝日新聞の期待に応えるのか。同委事務局にきいてみると「議題に上がるかどうかは委員の方々のご判断ですので、現時点では何とも申し上げようがない」とのことだった。
また朝日社説は、対案も提示した。さかのぼって納付する保険料を2年といわず「払えるだけ払ってもらい」、払えない期間は「加入期間としては認めるが、年金の受給額には反映させない」という方法を示し、「これなら、公平感が保たれ、無年金の人を増やさないで済む」と指摘した。
厚労省のある担当者によると、厚労相直属の形の「年金記録回復委員会」の中でも、今回の措置導入で不公平感が出るのではという懸念の声が挙がっていた。朝日社説の対案についてきいてみると、2年を超えてさかのぼって納付することなどを可能にするには法改正が必要で、「速やかに対応を始める必要があったため」今回の措置となったと説明した。
ちなみに、未納保険料をさかのぼって納付できる期間を現行の2年から10年にする国民年金法等改正案は、3年の時限立法の形となって現在は継続審議扱いだ。
朝日新聞以外でも、この問題を伝える記事の中で「きちんと保険料を払った人が不公平感を抱きかねず、議論を呼びそうだ」(読売新聞)、「『まじめに国民年金に切り替えて納めた人に不公平』との指摘も強い」(毎日新聞)などと報じられている。
ネット掲示板の2ちゃんねるや、この問題に関するネット配信ニュースのコメント欄などをみても、「ちゃんと年金を掛けている人をバカにするのか」など批判的な声が目立つようだ。