バラエティ番組「イチハチ」で、女性タレントがニューヨークのビル1室を偽って「自宅」と紹介した疑いがある――。こう新聞各紙が報じたのに対し、タレント側は、ブログなどで「投資物件の家だと捉えている」と反論している。テレビ局は、調査を始めたが、「現地で本人に確認した」と困惑している。
「疑惑」と報じられているのは、イチハチの「お坊ちゃまお嬢様芸能人No.1決定戦」。大阪・毎日放送が制作し、TBS系で2011年1月12日夜に放送された。
「物件は売りに出されている」電話きっかけ
番組では、日テレ系「恋のから騒ぎ」出演で知られるようになった実業家でタレントの夏波夕日さんがゲスト出演し、その世間離れした富豪生活ぶりを話した。その中で、ニューヨークに23軒の家を持つと明かしたが、本人が「うちです」と紹介したビルの1室について、事実と違うと指摘があったというのだ。
毎日放送の広報担当者によると、ある日本人女性から19日に「あの物件は現在、売りに出されており、所有者は別人」と電話があった。そこで、同局が夏波さんに聞いたところ、本人は27日、「自分の所有物件」と返答した。この食い違いについては、同局で調査しているところだといい、放送倫理・番組向上機構(BPO)にも報告した。
すると、新聞各紙は同日から、ビルの部屋が自宅というのは虚偽の疑いがあると報じた。毎日放送が関わっていた証拠は出ていないが、中には「やらせ疑惑」と報じるケースもあった。
しかし、「自宅紹介」が虚偽だとする証拠は、出ているわけではない。
夏波さんは28日、取材に対し、広報を通じてこう説明した。
「ビルの部屋は、投資物件と捉えています。私は住んでいませんが、だからと言って、家や自宅と言えないのでしょうか。私は、自分の家だったと考えています」
テレビ局「本人に何度も所有について確認」
夏波夕日さんによると、ニューヨークにあるビルの部屋は、2010年から売りに出していた。しかし、「買い手がいなくて困っていた」といい、毎日放送の取材を受けた同年12月末ごろは、まだ夏波さんに部屋の所有権があったという。
夏波さんは、11年1月29日付ブログでも、「お家は1つだけにしなきゃダメですか?」と反論した。取材では、不動産契約書といった証明書類をニューヨークから取り寄せ、毎日放送側にもFAXしたいと話していた。ただ、夏波さんは、「テレビ局にいちいち報告するため、なぜ個人情報まで出さないといけないのか」と困惑している。
報道によって、メールなどが相次いで来ており、自宅近くまで行って危害を加えることをほのめかすものも送られてきたという。
毎日放送の広報担当者も、今回の件について、こう戸惑いを明かす。
「本人に何度も所有について確認しています。間取りもすらすらと説明していましたし、本人と一緒に部屋の中に入っています。これだけ確認していますので、本人に権利書などを見せてほしいとは言えませんでした」
「やらせ疑惑」報道については、「『虚偽の疑い』なら分かりますが、そう指摘されるのは心外です」と言っている。