民主党の小沢一郎元代表(68)が強制起訴されたが、同党執行部の煮え切らない態度は相変わらずのままだ。しかし、いずれ離党勧告せざるを得ないともみられており、そうなれば分裂の可能性もあるというのだ。
強制起訴を受け、小沢一郎元代表は2011年1月31日夕、硬い表情で会見に臨んだ。
一体いつまで党内でにらめっこ
「何1つ私自身にやましいことはありません」
「無実であることは自ずと明らかになります」
何度も述べたことを紙を持って読み上げ、起訴後も民主党議員を続けると強調した。
離党勧告に踏み切るか注目された民主党執行部も、態度は相変わらずだ。
岡田克也幹事長も枝野幸男官房長官も、この日の会見で、離党などについてはまず小沢氏自らが判断すべきものと述べ、勧告に言及することはなかった。
一体いつまで党内でにらめっこを続けるのか。
政治アナリストの伊藤惇夫さんは、執行部はとりあえず小沢氏の単独離党を待っているとみている。とはいえ、もしそのまま居座る姿勢を見せ続ければ、いずれ離党勧告に踏み込まざるを得ないのではないかと言う。
「そうしないと、支持率がガタ落ちしますし、ここで腰砕けになっては、野党から攻撃を受けて国会が回りません。即座に勧告するかどうかは微妙なところですが、党内の様子を見ながらになるでしょう」
一方、小沢氏は、新党も視野に集団離党するかも注目されたが、伊藤さんは否定的だ。
離党に応じなければ、除名せざるを得なくなる
「小沢グループも離党したらもう党に戻れませんし、先の展望がなければ小沢さんについて行かないでしょう。無罪を勝ち取れれば、党内を大手を振って歩けますので、グループをそのまま温存することを考えているかもしれません」
検察審査会の議決による公判手続きには時間がかかることも予想されているが、伊藤さんは、それでも1年余りで判決が出るのではないかとみている。1審で無罪なら、控訴も考えにくいという。つまり、小沢グループは、1年余りの辛抱かもしれないというわけだ。
ただ、小沢氏が単独離党する可能性は残されているとしている。
民主党執行部は、世論の批判が高まるため、判決までには離党勧告するのではないかという。小沢氏が単独離党に応じなければ、党籍から除名せざるを得なくなる可能性がある。しかし、そうすれば、民主党が分裂する危機に見舞われるといい、舵取りは容易ではないようだ。
野党が求めている国会での証人喚問については、伊藤さんは、「国民新党や社民党が反対しているので、実現は難しいでしょう。自民党や公明党は、今春の統一地方選までこの問題を引っ張り、選挙の武器にしようと考えているのでは」と話している。